「グラン・ブルー」に突如介入してきたウォーレン・ベイティ
最初はハリウッドのサラブレッドに相応しい真摯な対応だったという。恐らく、アジャーニから才能ある新人だと聞かされていたのだろう。『サブウェイ』のラッシュを観てさらに興味を持ったベイティは、ベッソンの次回作について聞かせて欲しいと身を乗り出してきた。そこで、ベッソンは『グラン・ブルー』の冒頭のモノクロ部分、つまり、ジャックとエンゾの出会いについて話すのだが、その瞬間、ベイティはあのスリーピングブルーアイズ(目覚めた時の青い瞳←トレードマーク)でベッソンを凝視、アジャーニは側で感動のあまり鳥肌を立てていたという(ベッソン・談)。直後、ブルーアイズは静かに呟く。この映画を製作しましょう、と。
『グラン・ブルー』© Photofest / Getty Images
ベッソンが心の中で狂喜乱舞したことは言うまでもない。やがて、当時のアジャーニのエージェントで、後に裏切り者と化すマルジョリー・イスラエルが、英語が苦手なベッソンとベイティの橋渡し役を務めることになる。
さて、これ以降はなるべくディテールはスルーして『グラン・ブルー』の製作過程とベッソンvsベイティのやり取りを時系列に沿って紹介していこう。