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『ランニング・マン』予想外のリメイクを果たした80年代アクション、予見を超えたディストピア

©2025 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

『ランニング・マン』予想外のリメイクを果たした80年代アクション、予見を超えたディストピア

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トム・クルーズに学んだ疾走スタイル



 命がけで逃げながら、怒りを抑制できない性質を生き延びる力と体制への抵抗へと変えていくリチャーズ。演じたグレン・パウエルは、リメイク元で主演していたアーノルド・シュワルツェネッガーのようなパワフルさは無いものの、より観客に近い存在として、作品世界のリアリティを高めている。


 いまや人気俳優の一人となったパウエルは、『トップガン マーヴェリック』(22)の“ハングマン”役で世界的にブレイクした過去を持っている。本作への出演に際しパウエルは、その『トップガン マーヴェリック』で主演していたトム・クルーズに相談し、“走り方”レクチャーを受けることで、美しい疾走のスタイルを学んだのだという。



『ランニング・マン』©2025 Paramount Pictures. All Rights Reserved.


 また、ジョシュ・ブローリン演じる狡猾な番組プロデューサー、コールマン・ドミンゴ演じる陽気で調子のいいMC、さらにはケイティ・オブライアン、マイケル・セラなどが、個性的でアクの強い役柄を嬉々として演じている。このあたりのポップな娯楽要素は、エドガー・ライトの好む世界観に合致しているといえよう。だが、このような面白さに惹きつけられるわれわれ観客自身もまた、作品が暗示する風刺に取り込まれているように感じられる瞬間もある。


 スティーヴン・キングの物語がここで想定していたのは、古代ローマ時代の社会の統治のかたちだと考えられる。詩人によって「パンとサーカス」などと表現されたように、民衆の政治への関心を逸らすため、食糧と娯楽によってローマ市民を支配するという、いわゆる“愚民政策”である。その娯楽には、奴隷や戦争捕虜同士が命をかけて戦わされる「剣闘試合」も含まれる。キングはおそらく、そういった支配の構造を、当時の大量消費の価値観やコマーシャリズムが氾濫するアメリカ社会に見ていたということなのだろう。




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