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『ランニング・マン』予想外のリメイクを果たした80年代アクション、予見を超えたディストピア
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80年代近未来アクション、予想外のリメイク
日本では『バトルランナー』というタイトルで1987年に公開された、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の近未来アクション映画が予想外のリメイクを果たした。新たな監督は『ショーン・オブ・ザ・デッド』(04)や『ベイビー・ドライバー』(17)のエドガー・ライトだ。
『バトルランナー』はスティーヴン・キングが別名義で発表していた小説の映画化作品だった。監督のポール・マイケル・グレイザーはじめ、1980年代当時の製作者たちが表現する、近未来2017年のコマーシャリズムに支配されたディストピアと、マッチョなシュワルツェネッガーが躍動するカオティックな雰囲気は“インパクト大”だった。

『ランニング・マン』©2025 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
本作『ランニング・マン』は、そんなスティーヴン・キングの社会への問題意識が反映された物語を活かしつつ、当時の感覚を「レトロフューチャー」として再現しつつ、現代的な要素を加えて映画化した作品だといえる。エドガー・ライト監督は、人工的な環境をポップに表現したり、そこで起こるエクストリームな状況を娯楽化して観客に見せる部分に長けている。本作のリメイクは、その意味でうってつけといえるだろう。
舞台は、格差が極限まで広がり、貧しい大衆が暴力的なリアリティショーに熱狂する近未来のアメリカ。グレン・パウエルが演じる主人公ベン・リチャーズは、貧困のなか病気に苦しむ幼い子どもの治療費を稼ぐため、生死をかけたTV番組「ランニング・マン」への参加を決意することになる。この番組への参加は、実質的な“人間狩り”の獲物になることを意味していた。
番組のルールは、全米各地を舞台に、逃亡者(ランナー)となった参加者たちを、プロの刺客(ハンター)と、懸賞金目当ての一般市民が追いつめ、殺害していくというもの。ランナーが逃げる様子は、カメラによって中継される。殺害されるリスクが高い状況下にあるリチャーズだったが、彼は持ち前の運動神経や抜け目のなさを駆使しながら、各地の反体制的な市民の助けも借りつつ、州をまたいだ逃走劇を繰り広げていく。