繋がってる?繋がってない?
『私たちの一日』は小粒だからこそ、名匠のエッセンスがギュッと詰まっているという見方も可能だ。たとえば、主人公のサンウォンとウィジュの住む世界や物語を比較すると、少なからず相似する要素が浮かび上がってくる。
まず、室内でサンウォンと先輩がまったりとした時を過ごしていると、新たな登場人物(俳優志望の従姉妹)が手土産を持って階段を昇って現れ、2+1=3人となる。やがてサンウォンはテラスに出て、「俳優になるためには?」という相談に応じて、自らの体験を踏まえた真摯な答えを口にする。
一方、ウィジュの世界はこれにピタリと重なるわけではないが、やはり2人が3人になり、いつしか外に出て、質問を受け付けるという同じ動線を持つ。
その上、ウィジュもサンウォンと同様、真っ昼間にベッドで横たわり、またコチュジャン入りで真っ赤に染まったラーメンを食べ、話の中では各々のギターが印象的に用いられる。

『私たちの一日』©2023 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.
さらに、サンウォンはかつてあれほど没入した演技の世界から離れ、今では別の何かを見つけた様子だ。ウィジュは健康のためにあれほど愛していた酒とタバコをやめ、時折、未練たっぷりの表情を浮かべる。
かくも二者の世界は、微かに共通するものを垣間見せながら、しかしプロット的なつながりを何ら明示しないまま、飄々と進んでいく。もしここで各々の世界やストーリーが直接的にリンクしたなら、「よくできたお話だね」で終わってしまうのかも。そうしないところに”ホン・サンスらしさ”がある。扉を少しだけ開け、風通しを良くしたまま平行線を辿るからこそ、私たちは性別、世代、境遇の全く異なる二人の日常に、絶えず何かしらの繋がりを探してしまうのだ。