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『ザ・ブライド!』天才女性作家の呪詛が生み出す異形のファンタジー

©2026 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

『ザ・ブライド!』天才女性作家の呪詛が生み出す異形のファンタジー

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『フランケンシュタイン』の100年後の物語



 もうひとりの主人公である“フランケンシュタインの怪物”についても解説しておこう。長年にわたって指摘され続けているにも関わらず、「フランケンシュタイン」に登場する怪物の名前がフランケンシュタインであるという誤解は消えることがない。しかしフランケンシュタインは怪物を生み出す天才青年ヴィクター・フランケンシュタインの姓であり、小説の中で怪物はただ“怪物”と呼ばれているに過ぎない。フランケンシュタインと怪物を同一視するのは完全な誤解である。


 ただし『ザ・ブライド!』の怪物は、自らを“フランケンシュタイン”にちなんで“フランク”と名乗っている。それが、名前が必要になったからなのか、最後まで自分を愛することがなかった創造主ヴィクターをなおも父親だと思っているからなのか、劇中では特に理由は説明されていない。



『ザ・ブライド!』©2026 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.


 最近「フランケンシュタイン」を映画化したギレルモ・デル・トロ監督は、自らの家族体験に基づき、ヴィクターの父からヴィクターへ、そしてヴィクターから怪物へと歪な父子関係が継承されてしまう独自のバージョンにアレンジしていた。ある意味では「フランケンシュタイン」の最新バージョンであるデル・トロ版ですら、メアリー・シェリーが物語に織り込んでいた女性の視点を削ってしまっているといえる。


 やがて孤独に耐えきれなくなった怪物は、ヴィクター(映画『フランケンシュタインの花嫁』ではヘンリー)を脅し、伴侶となる女性の怪物を作れと強要する。原作小説では、その計画は恐れをなしたヴィクターによって放棄され、『フランケンシュタインの花嫁』では、怪物がついに誕生した花嫁に拒絶されるという悲劇が待っている。


 『ザ・ブライド!』の時代設定は1930年代のアメリカで、「フランケンシュタイン」の物語から100年以上が過ぎている。そして怪物=フランクは、今でも孤独を癒やしてくれる伴侶を熱望しており、筋金入りのマッドサイエンティストであるユーフォロニウス博士に協力を懇願して、ついにブライドが誕生する。つまり本作は、「フランケンシュタイン」の100年後を描いた続編としても機能しているのだ。




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