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『これって生きてる?』ブラッドリー・クーパー監督が、親密な目線でコンパクトに紡ぐ人間ドラマの快作
監督や出演のみならず撮影も担当したクーパー
タイトルの「Is This Thing On?」はステージに立つ出演者が「ちゃんと聞こえてる(スイッチ入ってる)?」とマイクチェックする時の決まり文句でありながら、夫婦の関係性が機能しているかどうか、はたまた、自分自身がちゃんと本音で向き合えているかどうかの問いかけにも聞こえる。
コメディ・セラーはまるで都会の片隅にあるラビットホールのよう。この穴を転がり落ちていくことで、主人公は自分を再発見する秘密の場所を手に入れるのだ。そうやって自らの抱える問題点と真摯に向き合い、それらをスタンダップコメディとして昇華させ、それに対して観客がダイレクトに反応を返す。このギュッと凝縮された呼応に、計り知れないセラピー効果があったのは明らかだ。

『これって生きてる?』©2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.
また、ニューヨークを知り尽くした撮影監督マシュー・リバティークが彩る街並みは臨場感に溢れ、この街もまた一人の主人公であることを印象付ける。と、ここで一つ踏まえておきたいのは、実は今回ブラッドリー・クーパーは監督のみならず、多くの場面においてリバティークと協力しながら手持ちカメラを操作して自ら撮影の最前線に参加していることだ。もちろん組合に正式加入した上で。
その理由も彼らしい。これまでの(主演を兼ねた)監督作に比べると、今回はキャストと共にカメラの前に立つ機会が圧倒的に少ない。そのため彼は、ディレクターズ・チェアにとどまるのではなく、気心知れた演者たちと緊密な距離感を維持しようとしたのだ。こうやって演技が生まれる渦中に積極的に身を投じるところに、俳優出身監督ならではのこだわりを感じる。