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『サンキュー、チャック』スティーヴン・キングが問う、人生の価値とは ※注!ネタバレ含みます

© 2024 DANCE ANYWAY, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

『サンキュー、チャック』スティーヴン・キングが問う、人生の価値とは ※注!ネタバレ含みます

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それぞれの人生が積み上げる無数の“世界”



 その考え方は、哲学者ニーチェが提唱した「運命愛(アモール・ファティ)」という態度そのものだ。ニーチェは、自分の身に起こった不運や失敗、叶わなかった夢、病、そして“死”という必然的な運命までをも、まるごと愛することを指す。「あの時ああしていれば……」と後悔するのではなく、いまこの瞬間の苦しみさえも自ら望んだのだとして、過去を自分の意志で積極的に肯定する。



『サンキュー、チャック』© 2024 DANCE ANYWAY, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.


 本作のラストに現れる幻影は、チャーリー自身が見た、未来の死にゆくチャーリー自身の姿であった。だがそうした経験を経たチャーリーでなくとも、われわれはいつか、何かのかたちで自分の命が尽き、自分の認識する世界が終焉を迎えることを理解しているはずだ。人生には終わりがある……それはその人の“運命”の終着点に他ならない。しかし、そうした終焉を意識しているかどうかが重要なのかもしれない。それを知っているからこそ、そこまでの道のりに、かけがえの無い価値があると思えるのではないのか。


 本作『サンキュー、チャック』は、そうした苦い運命をあえて最後に提示することによって、チャーリーという人物を称賛し、彼の人生を肯定しているといえる。そして同時に、全ての人々、全ての人生、全ての人が知覚し、積み上げている無数の“世界”を祝福している。そして、いつかは終わる世界を一瞬でも輝かせることが、世界の意味そのものであると語っているのだ。



文:小野寺系

映画仙人を目指し、さすらいながらWEBメディアや雑誌などで執筆する映画評論家。いろいろな角度から、映画の“深い”内容を分かりやすく伝えていきます。

Twitter:@kmovie




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『サンキュー、チャック』

新宿ピカデリーほか全国ロードショー中

配給:ギャガ 松竹

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