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『シャオ・メイ/ローマ大決戦』カンフーアクションを織り交ぜた、マイネッティ式異文化遭遇ドラマ
2026.06.09
『シャオ・メイ/ローマ大決戦』あらすじ
若き中国人女性シャオ・メイ【蕭梅】は、行方不明の姉を捜すためローマへとやって来た。だが彼女が足を踏み入れた移民地区は、売春や人身売買がはびこる危険地帯だった。そこで食堂を営むマルチェッロと出会ったメイは、彼の手を借り、姉を救うため、高級中華料理店〈紫禁城〉を根城にする凶悪犯罪組織に立ち向かうが―。
Index
新たな可能性を生む、ジャンルの融合
あなたはガブリエーレ・マイネッティ監督についてご存知だろうか? 日本アニメ「鋼鉄ジーグ」(75~76)を作品内に巧妙に取り込んだ『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(15)の大ヒットで、イタリア映画界における重要な存在へ躍り出た彼。たとえば最初の短編作『Basette』(08)が「ルパン三世」の影響をあらわにしたものであったり、短編二作目『Tiger Boy』(12)は虎マスクのプロレスラーに憧れる少年の物語だったりと、そのフィルモグラフィーにはハッとさせられるものばかり。
彼の映画に息づくDNAはそれだけではない。続く長編二作目の『フリークスアウト』(21)は、第二次大戦下のイタリアを舞台に『X-MEN』的な超能力を持つサーカス団員がアイデンティティを模索しながらナチス・ドイツと戦うという、抜群に面白い作品だ。
かくもマイネッティには、人生の端端で受け取ったサブカルチャーのエッセンスを惜しみなく物語に投じる傾向がある。ただし、単なる模倣で悦に浸るわけではない。むしろ彼の作品は“化学反応”そのものだ。何かと何か、誰かと誰かが運命的に出会い、融合を遂げ、いつしか唯一無二のイタリア的文脈のタペストリーへと織り上げられていく。その有機的な変化の過程こそが、マイネッティ作品の見どころである。

『シャオ・メイ/ローマ大決戦』© 2025 WILDSIDE S.R.L. – GOON FILMS S.R.L. – PIPER FILM S.R.L.
姉を探してローマに乗り込んだ妹の死闘
前置きが長くなったのは、長編3本目となるイタリア式カンフー映画『シャオ・メイ/ローマ大決戦』(25)もまた、「マイネッティ作品らしさ」についてあらかじめ知っておいた方が楽しめるからだ。
物語は、消息を絶った姉を探して、妹シャオ・メイ(リウ・ヤーシー)が遥々中国からローマに乗り込む場面から始まる。
出稼ぎ目的の不法移民を装って、移民街エスクイリーノ地区の中国系組織に足を踏み入れるや、彼女の目は一気に戦闘モードへと豹変。幼い頃から父親に習ったカンフーが一気に火を吹き、次から次へと襲い来る屈強な男たちをぶちのめしながら縦横無尽に建物内を突き進んでいく。そこで老婆から得た手がかりを頼りに、ヴィットリオ広場近くにある一軒のレストランを訪れる彼女。スマホの翻訳機能を使って調理場のマルチェッロ(エンリコ・ボレッロ)を力づくで問い詰めるのだが…。