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『エレノアってグレイト。』スカーレット・ヨハンソンが温もりと凛とした魅力たっぷりに紡ぐ、長編監督デビュー作
2026.06.23
祖母との思い出が活かされた珠玉の脚本
名作の影には優れた脚本あり。これが初長編脚本となるトリー・ケイメンの脚本は、彼女がかつて祖母と過ごした大切な時間に着想を得て、フィクションへと変換させた素晴らしい内容だ。
その祖母は95歳にしてフロリダからニューヨークへ引越し、突如としてケイメンにとって身近な存在になった。二人は他愛もない話題から、人生のこと、家族の歴史など、多岐にわたる事柄について言葉を交わした。脚本内では祖母が語った言葉をそのまま活かしたセリフがいくつもあるという。(*2)
この脚本に心酔した製作陣がまず動き出し、ケイメンが執筆時からイメージしていたという、アカデミー賞ノミネーション経験を持つ90代の俳優ジューン・スキッブ(『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』13、『テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ』24)に打診。彼女もまた、型にはまらないエレノアの魅力とストーリーに惹かれ、出演を快諾することになる。
さらに製作陣は一縷の望みを託すように、以前から自身のプロダクションを立ち上げて監督進出作を探していたスカーレット・ヨハンソンへ脚本を送る。ジューン・スキッブからのメッセージを添えて。(*3)
彼らの読みどおり、本作は彼女の心を深く打った。何よりこの物語は、ヨハンソン自身にとっても祖母との掛け替えのない記憶を思い起こさせるものだった。こうして知名度と影響力を持つヨハンソンが参加を決めたことで、本プロジェクトは一気に製作の勢いを加速させていく。

『エレノアってグレイト。』(C)2025 ELEANOR INVISIBLE FILM, LLC AND TRISTAR PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
共振し合う歳の離れた二人
スキッブが命を吹き込んだ主人公エレノアは、決して可愛らしいお婆さんというわけではない。かなり頑固で、皮肉屋で、思ったことはハッキリと口にする。人生に後悔は残さない。そこがエレノアの良さでもある。
だが私たちは、彼女を知れば知るほど、心の内側に悲しみの膜がかかっていることに気づくだろう。そんなエレノアに、本作は互いの心情を映し合う鏡のような存在を与える。同じ喪失の悲しみを抱え、しかもうんと歳の離れたニーナ出会わせ、まるで親友のごとく共振させるのである。
顔を合わせれば話題が尽きることはない。喜びにも悲しみにも寄り添い合う二人。いつしか一緒にあつらえたスーツに身を包み、颯爽とニューヨークを歩む姿が最高に素敵だ。