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『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』あまりに壮絶、あまりに痛々しい、現代の愛の寓話

© 2025 DIE MY LOVE, LLC.

『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』あまりに壮絶、あまりに痛々しい、現代の愛の寓話

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役割を押し付ける“家”から抜け出して



 ここまでグレースの目線で語ってきたが、ジャクソンの目線にも寄ってみよう。彼がグレースのことを愛しているのは疑いようがないし、良き夫、良き父親でありたいと思っている。グレースの狂気にとまどい、揺さぶられながらも、彼女を支えようとする。思いやりのある言葉もかけられるし、決して悪い男ではない。彼に問題があったとすれば、出産後の彼女とセックスレスになってしまったこと。優しい言葉よりも、行動こそ彼女が欲していたものだったのだから。


 しかし客観的に見ると、ジャクソンはこの田舎での新生活にグレースを押し込めようとしたのではないか……という気がしないでもない。先に記したとおり、映画の冒頭、この家を視察しにきたグレースは機嫌がよさそうにはみえない。実際に住み始めると、彼女は息苦しさからガラスを突き破って外に飛び出そうともする。ラストシーンは、冒頭と似たショットからの、この家に別れを告げるようにたたずむグレースの姿だ。



『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』© 2025 DIE MY LOVE, LLC.


 最近、“インセル・ホラー(Incel Horror)”という言葉を目にするようになった。これは、ざっくりといえば男性優位社会で女性の主体性が奪われるホラー映画のジャンルを指す。現在全米でヒットしている『オブセッション 災愛』(25)の論評でしばしば使われている言葉。本作は厳密にはホラーではないが、まったく悪気なく良妻賢母役を押し付けてグレースを家に閉じ込めるジャクソンの行為は、彼女から主体性を奪っている。それが彼女を狂気へと向かわせたのではないだろうか。


 リン・ラムジーの作品はさまざまな解釈ができるので、正解はない。ここまで記したのはあくまで筆者の考察だ。グレース役のジェニファー・ローレンスの体を張った熱演や、ジャクソンにふんしたロバート・パティンソンの好演、シシー・スペイセクやニック・ノルティらベテランの好助演もあり、芯のしっかりした映画になっているのは間違いない。この壮絶なラブストーリーから、あなたは何を受け止めるだろう?



文:相馬学

情報誌編集を経てフリーライターに。『SCREEN』『DVD&動画配信でーた』『シネマスクエア』等の雑誌や、劇場用パンフレット、映画サイト「シネマトゥデイ」などで記事やレビューを執筆。スターチャンネル「GO!シアター」に出演中。趣味でクラブイベントを主宰。



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『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』

全国公開中

配給:クロックワークス

© 2025 DIE MY LOVE, LLC.

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