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『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』あまりに壮絶、あまりに痛々しい、現代の愛の寓話

© 2025 DIE MY LOVE, LLC.

『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』あまりに壮絶、あまりに痛々しい、現代の愛の寓話

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 『少年は残酷な弓を射る』(11)で悪夢のような家族関係を描き、世界に衝撃を与えたリン・ラムジー監督。彼女が『ビューティフル・デイ』(17)以来8年ぶりに放つ『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』(25)は、これまた衝撃的な作品だ。愛し合ってはいるが、噛み合うことなく崩れていく男女の絆。『少年は残酷な弓を射る』と同様に、産後鬱などの現実的な要素を残しつつも、寓話の残酷性を込めてラムジーはそれを描いている。


 物語は、NYから来た若いカップル、ジャクソンとグレースが、前者の叔父が遺した田舎の家を見に来るところから始まる。自然に囲まれたここに移り住んだ彼らは、男の子を授かり、幸せな家族生活を築く……はずだったが、そうはならなかった。グレースは赤子との絆こそ感じてはいるが、それ以外の人間関係に苛立っては奇行に走り、時には自傷し、愛するジャクソンの声さえも耳に入らなくなっていく。彼女の狂気はエスカレートし、やがてジャクソンは決断を迫られることになる。


 最初に述べたように、本作の肝となるのは寓話的な残酷性だ。映画を観終えたとき、最初は仲睦まじいカップルのように思えたジャクソンとグレースの関係が、まったく違うものに思えるだろう。愛し合っているのにギスギスしていく関係が、ホラーのような緊張感とともに描かれており、非現実的にも思えるかもしれないが、そこが寓話の面白さでもある。そんな視点から、この恋人たちの悲劇を振り返ってみたい。



『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』© 2025 DIE MY LOVE, LLC.


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彼女は何を“否定”し続けるのか?



 製作は、原作小説の映画化権を所有していた名匠マーティン・スコセッシが、アカデミー賞アクトレス、ジェニファー・ローレンスに話したことに端を発する。原作に惚れ込んだローレンスはラムジーにこの企画を持ち込んだ。『少年は残酷な弓を射る』ですでに産後鬱を取り上げていたラムジーは当初は気乗りしなかったというが、それでも本作には独特の視点があると悟り、監督を引き受けた。


 産後鬱にとらわれない物語であることは、映画の冒頭でさっそく示されている。後に新居となる古い家を見に来たジャクソンとグレース。彼らの会話が、必ずしも噛み合っていないことに気づいただろうか? ジャクソンはここで暮らす未来に思いを馳せるが、グレースはそれに対して肯定せず、否定ともとれる曖昧な返答をする。直後、彼らがこの家で激しく愛し合うシーンになだれ込むので、とりあえずこのふたりは愛し合っている……と観客には思えるだろう。


 しかし、彼らがここに生活の拠点を移し、子どもが生まれると、グレースの“否定”は顕著になっていく。ジャクソンの両親が友人たちを連れて祝福に訪れても、グレースは歓迎の意志を示さない。ジャクソンが留守の間、ひとりで赤子の面倒を見ているが、ときに上の空になり、音楽(何度も流れるトニー・バジルのヒット曲「ミッキー」)に合わせてダラダラと体を揺らす。ベッドルームに戻ると自慰に耽る。彼女とジャクソンの距離はどんどん広がっているように見える。





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