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『ビトゥーカ ミルトン・ナシメント フェアウェルツアー』ブラジルの精神史を映し出す、その人生

© GULLANE ENTRETENIMENTO S.A / ReallyLikeFilms + Palmyra Moon

『ビトゥーカ ミルトン・ナシメント フェアウェルツアー』ブラジルの精神史を映し出す、その人生

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「ブラジルの声」と称される理由



 さらに本作では、ビトゥーカ本人が、自身が楽曲を提供したこともある大先輩、エリス・レジーナからの影響を語り、その革新性を称えている。一見すれば水と油のようなこれらの要素が、ビトゥーカの身体を通ることで、複雑に融合し、誰も聴いたことのない音楽に到達しているのだ。そうした音楽性は、彼個人のそれを超えた、一つの思想の領域にまで及んでいるように思える。


 スパイク・リーが人種的な連帯を示すように、ビトゥーカはアフリカ系ブラジル人としてのルーツを、自身のアイデンティティの基盤としている。強権的な政府だけではなく、人種差別の圧力も経験してきた。ブラジルにも間違いなく人種差別、マイノリティ差別がある。



『ビトゥーカ ミルトン・ナシメント フェアウェルツアー』©️ GULLANE ENTRETENIMENTO S.A / ReallyLikeFilms + Palmyra Moon


 そんな事実が提示されるとともに、ミナスジェライスの土地を飛び越えて、アフリカのルーツやラテンアメリカ、先住民のメッセージをも、ビトゥーカはすくい上げているという見方も示される。「ミルトンになれなかった“ビトゥーカ”たちはどれほどいるのか……どれほどの“ブラジル”がミルトン一人の中にいるのか」、本編ではそう語られている。これが「ブラジルの声」と、彼が称される理由なのだ。





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