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『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』記憶から失われても、本能は覚えている。そこに生きる希望がある

©2026 CPII. All Rights Reserved. © & TM 2026 MARVEL

『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』記憶から失われても、本能は覚えている。そこに生きる希望がある

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色彩設計とレンブラント的な照明



 前3作のジョン・ワッツ監督に代わって、『BND』のメガホンをとったのは、デスティン・ダニエル・クレットン。『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(21)でマーベルのヒーロー映画も経験済みで、アクションまわりの見せ方には安定感がある。その一方で、たとえばスパイダーマンがMJを抱え、ニューヨークの街をスイングして移動する“おなじみ”の描写では、スイングの反復がピーターの虚しさを表現していたりと、アクションの中で感情を発露させる演出テクニックも示した。



『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』©2026 CPII. All Rights Reserved. © & TM 2026 MARVEL


 しかし『BND』で最も監督の意図を感じさせるのは、その色彩設計と照明かもしれない。前3作、あるいは他のスーパーヒーロー映画とは明らかに異なり、どこかブラウン系を強調したシックな装いの映像を基本とする。室内のシーンでは“暗さ”も感じさせ(それがピーターの感情を代弁するのだが)、人物の顔に横から照明を当て、レンブラントの絵画のような陰影を作る。そうした演出をあちこちに発見しながら、作品のトーンが形作られていく。


 エンドロールの映像も、そのトーンを締めくくる意味で観ているこちらの気持ちをクールダウンさせ、どこか幸せに浸らせてくれるのだ。クレットン監督のそうしたセンスと、トム・ホランドの抑制しながらの変節した演技によって、スパイダーマン映画がBrand New(=真新しい)な次元に入り、まだまだその先を観続けたい欲求に駆られてしまった。



文:斉藤博昭

1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。クリティックス・チョイス・アワードに投票する同協会(CCA)会員。




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『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』

大ヒット上映中

配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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