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『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』記憶から失われても、本能は覚えている。そこに生きる希望がある

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『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』記憶から失われても、本能は覚えている。そこに生きる希望がある

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『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』あらすじ

愛する人たちを守るために、彼らの記憶から自らの存在を消すという決断をした『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の出来事から4年。大人になったピーター・パーカーはスパイダーマンとして、ニューヨークの人々を守り、彼らを脅かす犯罪と戦う日々に全力を尽くしていた。そんななか、人々の期待を背負う彼の体に驚くべき身体的変異が起こり始める。同時に、街では姿なき不可解な犯罪が頻発。“親愛なる隣人”に、かつて直面したことのない大きな脅威が迫る──。


Index


トム・ホランドの陽性が生きた3部作を終えて



 アメコミが生んだヒーローとして不動の人気を誇るスパイダーマンは、当然のごとく演じる俳優の当たり役となってきた。1970年代のテレビシリーズや日本でのドラマ・映画化を経て、2002年のサム・ライミ監督『スパイダーマン』の世界的ヒットにより、トビー・マグワイアがそのイメージを定着させる。マグワイアは計3作で演じ、その後、2012年からの『アメイジング・スパイダーマン』からアンドリュー・ガーフィールドが2作でスパイダーマン役を託された。


 そして前任の2人以上に長きにわたってスパイダーマン役を演じ続けているのが、トム・ホランドである。スパイダーマンの名を冠した、つまり主人公である作品は2017年の『スパイダーマン:ホームカミング』に始まり、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(19)、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(21)と2年に1本のペースで作られ、5年を空けて『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』(26)が完成。さらにホランドのスパイダーマンは、アベンジャーズが揃った3作にも登場。マグワイア、ガーフィールドも『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』に特別出演的に顔を出したものの、ホランドがスパイダーマンを演じた“分量”は他の追随を許さない。その分、自身の当たり役へのプレッシャーは大きいことも察せられる。「ホーム」という共通タイトルが付いた前3作と異なり、『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ(以下、BND)』は新たなスタートを印象づけるが、そのタイトルは、2008年3月に発表されたコミックから取られた。



『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』©2026 CPII. All Rights Reserved. © & TM 2026 MARVEL


 では、トム・ホランドにとって、何が新たなスタートになったのか。過去のスパイダーマン俳優であるマグワイア、ガーフィールドが、俳優の個性としてどこかエキセントリックで壊れやすいイメージも醸し出すタイプだったのに対し、ホランドの魅力は、あくまでも無鉄砲で陽性。プライベートでの性格も、まんま演技に出る感じ。前3部作はそのキャラが生かされ、それゆえにピーター・パーカーの失敗と成長、人間関係に共感させる瞬間も多発した。マグワイア、ガーフィールドが他の作品も含めて“演技派”志向なのに比べ、ホランドは“親しみやすさ”がスターの資質を形成していた。


 そんなホランドにとっても、『BND』におけるピーター・パーカーにはシビアで切実な演技がメインとなることは、あらかじめ分かっていた。前作『ノー・ウェイ・ホーム』で、ピーターが愛するMJ、親友のネッドの記憶から“自分の存在を消す”決断をしたからだ。MJとネッドは大学を卒業し、ニューヨークで親友として一緒に暮らしている。彼らはかつてスパイダーマンに救われた事実はもちろん覚えているものの、ピーターという人物の存在だけが抜け落ちた状態。ネッドは相変わらず、スパイダーマンの動向を追いかける日々だが……。この『BND』では、そんな3人の接点がストーリーの核となる。いや、冷静に全体を眺めれば、スパイダーマンと“見えないパワー”で多くの人を操る宿敵(および、それに関わる複数の組織/キャラ)の戦いがメインではあるのだが、その本筋を超えて、エモーショナルな瞬間を蓄積させるのが彼らの関係性なのは間違いない。




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