2026.08.06
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“ジャンル”という概念を無効化してきた存在
音楽史のなかに、きわめて個性的で不思議な人物がいる。一般的な知名度は決して高くないかもしれない。しかし、その名前を口にするのが、ビョークであり、デヴィッド・バーンであり、ブライアン・イーノであり、坂本龍一だと聞けば、興味を持つ人も多いのではないか。彼らが強く影響を受けていると語る人物こそ、1960年代から現在まで第一線で表現活動を続ける、メレディス・モンクである。
メレディス・モンクは作曲家であり、歌手であり、振付家であり、演出家であり、映画作家でもある。音楽、ダンス、演劇、映像、インスタレーション……あらゆる領域を横断しながら作品を発表してきた彼女は、半世紀以上にわたって“ジャンル”という概念そのものを無効化してきた存在だともいえる。

『メレディス・モンク 踊る声、歌う身体』©110th Street Films
そんな謎めいた彼女の活動や内面に迫ったドキュメンタリー映画『メレディス・モンク 踊る声、歌う身体』(25)が公開中である。ここでは、本作の内容が伝える、特異な表現者メレディス・モンクについて語っていきたい。
いまでは高級住宅地となっている、ニューヨークのマンハッタン島、トライベッカ。工業用のビルが安く売り出されていた頃から、モンクはそこのロフトに居を構え、アーティスト活動を続けている。当時はその周囲に、成功を夢見るアーティストたちが続々と集っていた。ロフトに一緒に住んでいるのは、亀の“ニュートロン”だ。住まいであり、稽古場であり、創作の現場でもあるこのロフトには、生活と芸術を切り分けない彼女の姿勢がそのまま形になっているように思える。