ティーンエイジャーの映画
『ネネットとボニ』は、Dacia Filmsというプロダクション会社が製作を担っている。オリヴィエ・アサイヤスの『イルマ・ヴェップ』(96)等の製作を担ったこの会社は、90年代半ばにアルテから委託された「Tous les garçons et les filles de leur âge(同年代の少年少女たち)」という、若者を題材にするTV映画シリーズを発足の契機としている。クレール・ドゥニの『U.S. Go Home』はこのシリーズの一篇であり、他にはシャンタル・アケルマンやパトリシア・マズィによる珠玉の作品群が含まれている。『また会えるよね』(24)を撮ったギヨーム・ブラックは、フランスのティーンエイジャーを題材とするこの企画そのものに、度々共感を寄せている。

『ネネットとボニ』
クレール・ドゥニに会ったとき、アリス・ウリは14歳だったが、『U.S Go Home』に出演するために、年齢を16歳にごまかしていた(フランスでは16歳未満の子供を起用する際、特別な許可が必要とされる)。兄妹役を演じたグレゴワール・コランとアリス・ウリの相性のよさは、この作品のほとんどすべてと言いたくなるほど、決定的な輝きを放っている。クレール・ドゥニは、この2人と共にまた映画を撮りたいと願っていた。『ネネットとボニ』においては、ボディランゲージのごとく多動的なボニと、控えめな身振りに鉄の意思を感じさせるネネットのコントラストが見事だ。クレール・ドゥニ曰く、これはアリス・ウリが独自で決定を下した演技プランだった。
『ネネットとボニ』は、シーンの始めにどういう場所であるかを示す“エスタブリッシング・ショット”を意図的に排除している。被写体の限界まで近づくクローズアップさえ用いられている。細部のショットから入り、徐々に背景や状況が見えてくる。この手法は、脚本を書いていたときに頭に思い浮かべていた、閃光のようなイメージを忠実に再現するためだったという。クレール・ドゥニと共にキャリアを歩み続けるアニエス・ゴダールの撮影は見事だが、編集を担ったヤン・デデの仕事も素晴らしい(フランソワ・トリュフォーの映画で編集を担ってきた人物だ)。『ネネットとボニ』を繰り返し見たときに驚かされるのは、イメージからイメージ、感覚から感覚への橋渡しと衝突の妙だ。