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『ネネットとボニ』周縁の兄と妹、あらゆる感傷の外へ

『ネネットとボニ』周縁の兄と妹、あらゆる感傷の外へ

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周縁の兄と妹



「霧の向こうにパリがある。見えないけど、たしかにパリだ。天気が良い日はパリが近くに感じられる。しかしそこに行くと話は別なので、私たちは決して行かない。」(『U.S. Go Home』(94))


 冬のマルセイユ。獲物を狙う狩人のような瞳を持つ不安定な青年ボニ(グレゴワール・コラン)と、真夜中に寄宿舎から抜け出したさすらいの少女ネネット(アリス・ウリ)が再会する。クレール・ドゥニの傑作『ネネットとボニ』(96)には、特別な温度で結ばれた兄と妹が描かれている。お互いに愛情を示すわけではない。母親が亡くなって以降、疎遠になっていた2人は、無視したり、掴み合いの喧嘩になったり、罵り合ったりする。ネネットは妊娠している。どうしたらいいか分からないネネットは、ボニの元に向かう。言葉にせずとも伝わる感情的な傷跡が2人を結び付けている。ここには2人にしか分からない肌の記憶、温度のようなものがある(肌がクローズアップで捉えられる)。ある日、ボニは小さい頃の兄と妹が手をつないでいる落書きをノートに見つける。可愛らしいその絵には、“ネネットとボニ”と記されている。



『ネネットとボニ』


 アンヌ・ヴィアゼムスキーとの共同脚本による本作の姉妹編『U.S. Go Home』(94)では、本作と同じくグレゴワール・コランとアリス・ウリが兄妹役を演じている。60年代のポップミュージックが絶え間なく流れるパーティーシーン。期待外れのパーティーが終わると、兄と妹は取り残されたように2人きりになる。2人は暗い夜道を歩いて帰る。パーティー=コミュニティという幻想から弾き出され、世界に2人だけが取り残されたような感覚。この感覚が『U.S. Go Home』と『ネネットとボニ』を結ぶ基調、トーンになっている。パーティーの中に居場所を見つけられない感覚。実際のパリではなく、パリを近くに感じて、その場には行かず、夢見ることを敢えて選ぶ感覚。クレール・ドゥニの映画の主人公たちには、周縁の感覚がある。


 ネネットとボニは、共に反抗的な若者だ。しかし、目に見えて反抗的なボニよりも、ネネットの方が本質的なアウトサイダーだと感じる。ネネットは『冬の旅』(85)の“拒絶のヒロイン”モナに迫る、無二のヒロインだ。クレール・ドゥニはアウトサイダーの概念について、次のように語っている。


「コミュニティの一員であってこそ、自分自身がアウトサイダーだと感じられるものだと思います。アウトサイダーの視点なんて、私は信じていません。」*




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