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『オークストリートの異変』低予算ホラーで才能を示した監督が、恐竜エンタメに込めた強い思い

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『オークストリートの異変』低予算ホラーで才能を示した監督が、恐竜エンタメに込めた強い思い

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1980年代のアンブリン映画の魅力を求めて



 メジャースタジオの下でのエンタメ大作で、デヴィッド・ロバート・ミッチェルがこだわったのは「1980年代への回帰」だった。それをマニアックな路線ととることも可能だし、逆に大多数の人にアピールする作りだと捉えることもできる。ミッチェルはその両方向を狙ったようだ。もともと、散歩中にひらめいたアイデアが源泉であるという。近所の家のガレージとそこに置かれたゴミ箱を目にして、「今ここに恐竜が現れたらどうなる?」と、無邪気な子供のような発想が本作のプロットにつながり、それをアン・ハサウェイ、およびヒットメーカーのJ・J・エイブラムスが気に入り、ワーナーに企画が持ち込まれた。「作りたいアイデアを、大規模な予算で映画にする」という、純粋なプロセスが実現したのだ。


 『オークストリートの異変』は舞台自体も1980年代の初め。ネットや携帯も存在しない時代での家族のサバイバルは、当然のごとく同時代の映画のムードをまとうことになる。ミッチェルも「最も意識したのは、1980年代のスピルバーグ監督作や、アンブリン(・エンターテインメント)の作品」と話しており、郊外の新興住宅地での異変や、家族や近所との関係など、アンブリン初期の『ポルターガイスト』(82)、『E.T.』(82)に通じる描写が詰まっている。タイトルにも掲げられた舞台の住宅地「オークストリート」は、もちろん『エルム街の悪夢』(84)へのオマージュ(同作の原題は『A Nightmare on Elm Street』で、本作は『The End of Oak Street』)。オーク=樫(かし)または楢(なら)、エルム=楡(にれ)と、樹木の種類で対比させている。



『オークストリートの異変』© 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved


 一方で、登場する恐竜とその他のクリーチャーに関しては、1980年代以降、スピルバーグの『ジュラシック・パーク』(93)がターニングポイントとなり、テクノロジーの進化がリアルな映像を実現させた。もちろん今作でもミッチェルはILMの最先端技術を最大限に使っている。しかし彼が強く意識したのは『恐竜グワンジ』(69)など、アナログ時代の作品だった。同作は、特殊効果のレジェンド、レイ・ハリーハウゼンによる恐竜の動きや恐竜同士のバトル、人間への攻撃が、ストップモーションとは思えない生々しさと迫力を生み出しており、『オークストリートの異変』では、アナログが醸すクリーチャーの手触り感を保ちつつ、現代の大作らしいリアルさを伴う、映画少年の夢のような映像をあちこちで満喫できる。これまで恐竜を題材にした映画はいくつも作られたが、斬新なクリーチャーも登場し、その映像表現は人間の根源的恐怖をくすぐる“妖しさ”が備わっていたりもする。さらに過去のどんな映画とも異なる、恐竜の生態を描いたシーンには、思わず目を疑うはずだ。そこにミッチェルが初期作で培ったホラー風味、ゴア描写を盛り込み、作家性とエンタメの理想的なバランスが表出する。




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