2026.08.17
父親への感謝と無念が、思いも寄らぬ感動を形成
そもそもデヴィッド・ロバート・ミッチェルは、恐竜映画を撮りたかったのか? その答えは「イエス」である。彼の父親は古生物学に夢中だった人で、ミッチェル自身も幼い頃からその影響を受け、父と一緒に恐竜映画やモンスター映画、ホラーを観続け、親しんだという。そこに監督としての原点がある。

『オークストリートの異変』© 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
『オークストリートの異変』は、本編に記されるとおり、ミッチェルが父親に捧げた作品。父親のロバート・アレン・ミッチェル(監督のミドルネームも父に由来)は、2024年に73歳で亡くなった。おそらくミッチェルは、自身がビッグバジェットで完成させた恐竜映画を絶対に父に観てもらいたかったはずで、その思いが叶わず、せめて献辞で示したかったのだろう。「父が生きていれば」というミッチェルの希望は、『オークストリートの異変』の展開にも込められており、父子の絆を押さえながら本作を観ることで、単に物語を追うのとは異なる、別次元の感動が届けられる。
この展開にシンクロするのは、やはりアンブリンの代表作である『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)。1980年代の住宅街に、なぜ古代の植物が生え始め、恐竜が姿を現したのかという理由は、もちろん時空の変化が起因しているわけで、本作ならではの論理に則っているものの、登場人物たちがその論理にどう気づき、どう使うかも試され、ドラマのキーポイントとなる。そこに1980年代の名作が不覚にも重なることで、映画の中で果たされる夢と希望が、われわれをいかに幸せにしてくれるかを、再認識させるのだ。
文:斉藤博昭
1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。クリティックス・チョイス・アワードに投票する同協会(CCA)会員。
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『オークストリートの異変』
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配給:東和ピクチャーズ 東宝
© 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved