1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. 星の時
  4. 『星の時』80年代ブラジル映画の傑作が未だ先鋭的な理由とは
『星の時』80年代ブラジル映画の傑作が未だ先鋭的な理由とは

『星の時』80年代ブラジル映画の傑作が未だ先鋭的な理由とは

PAGES


『星の時』あらすじ

ブラジル北東部の貧しい地からサンパウロにやってきたマカベーアは、身寄りもなく、読み書きもままならず、世間知らず。安月給で暮らし、3人の女たちと粗末な下宿を共有している。自身の貧困や境遇に無自覚で、恋にあこがれ、映画スターを夢見る彼女は、ある日占い師から「あなたの人生は変わる」と告げられる。だが、その「運命の瞬間」は思いがけない形で訪れる……。


Index


現代でも追いつけない、80年代ブラジル映画の傑作



 80年代のブラジル映画の傑作『星の時』(85)が、修復された4K版として、日本の一般的な劇場で初公開されている。この日本公開の背景には、原作者であり「ブラジルのヴァージニア・ウルフ」と称される作家、クラリッセ・リスペクトルが2020年に生誕100年を迎えたことを機に、国内外で彼女の急速な再評価が進んでいる状況が挙げられるだろう。


 そんなクラリッセ・リスペクトルの最後の小説を映画化した『星の時』の内容は、凄まじく先鋭的であり、あまりにも鮮烈。ブラジルの貧困や弱者の状況を過激に描写したことで、現代においても物議を醸すような、油断のならなさが全体にみなぎっているのだ。ここでは、そんな本作『星の時』の内容に迫りながら、この映画が現代でも追いつけないような圧倒的なものを持っているのは何故なのかを考えていきたい。



『星の時 4K』


 映画化したのは、これが初の長編劇映画となった、スザーナ・アマラウ監督。それまではドキュメンタリー作品を手がけていて、サンパウロの貧困層の女性たちが生活を改善するために連帯や活動をする姿を、写し取っている作品もある。本作もまた、ブラジル北東部から大都会サンパウロにやって来た、若い女性主人公の苦境を描いている。ここで小説家と映画監督、二人の女性クリエイターの社会にかかわる共通的な視線が意識される。


 ブラジル北東部の内陸には乾燥した地域があり、農産物が育ちにくい環境であることから、貧困化が進んでいたという。本作の主人公マカベーア(マルセリア・カルタッショ)は身寄りもなく、そんな貧しい地方の貧困から抜け出して、やっとサンパウロへとたどり着いた。ここでは、地方と都会という表面的な枠組み以上に、経済格差、階級格差、文化的な偏見を伴った地域間の対立という要素が存在している。




PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
counter
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. 星の時
  4. 『星の時』80年代ブラジル映画の傑作が未だ先鋭的な理由とは