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『オデュッセイア』ノーラン作品のすべてが収束する地点、そして新たな出発点へ
『オデュッセイア』あらすじ
ギリシャの島国イタケでは王の不在が続く。「トロイの木馬作戦」を成功させ、10年続いたトロイア戦争を終結させたイタケの王オデュッセウスはその後10年もの間消息を絶ち、王妃ペネロペは帰還を待ち続けていた。王宮ではアンティノオスら求婚者が王位を狙い、宴を繰り返し、我が物顔で居座り続けている。ペネロペと息子のテレマコス、盲目の忠僕エウマイオスだけがオデュッセウスの帰還を信じていたーー。
Index
- グリフィス、デミル――そしてノーラン! 『オデュッセイア』という“超王道”の新しい神話創生
- “ヒーローズ・ジャーニー”の原型を再創造する
- トロイの木馬をめぐる因縁
- 罪を抱えた者の帰還――戦争の重荷を引き受けるオデュッセウス
グリフィス、デミル――そしてノーラン! 『オデュッセイア』という“超王道”の新しい神話創生
美しく、面白く、凄まじい。クリストファー・ノーラン監督の長編第13作となる最新作『オデュッセイア』(26)は、現代映画の偉大なアーキテクト(設計士)が真正面から詩人ホメロスの正典に挑み、IMAX 70mmという巨大なキャンバスの上に、神話と倫理と時間を重ねて描いた。
映画創世記に“ハリウッド超大作”の構えを打ち立てたD・W・グリフィスの『イントレランス』(16)や、セシル・B・デミルの『十誡』(23)などの系譜を真正面から受け継ぎつつ、史上初となる全編IMAXカメラのみの撮影を果たし(ハリウッド映画として初めてIMAXカメラを本格使用した『ダークナイト』(08)から、ノーランとIMAXの関係は映画の物理的限界を押し広げる共同実験の歴史だ)、最新形の映画として息づく“超王道”――圧倒的なスーパーモダンクラシックとして屹立する。

『オデュッセイア』© 2026 UNIVERSAL STUDIOS
ギリシャ、モロッコ、イタリア、マルタ、スコットランド、アイスランド の6か国を縦断し、さらに西サハラの砂漠地帯まで足を伸ばした、ノーラン作品でも最大級のロケーション撮影。少年時代に父の8mmカメラで遊び、のちに「大型映画」の可能性を極限まで押し広げた生粋の映画小僧が、自らの原点へ帰還しつつ、同時に映画表現の頂点へと到達した——これ以上ない高みに登り詰めた渾身の金字塔といえる。