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『もしもの愛』韓国社会のシビアな現実を背景に忍ばせた、漂う抑制力の効果

Netflix映画『もしもの愛』

『もしもの愛』韓国社会のシビアな現実を背景に忍ばせた、漂う抑制力の効果

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韓国で実際に起きたストライキ事件をモチーフに



 映画の中盤で、ホソクが息子のバースデイケーキを買いに出かけるシーンがある。そこでホソクは、見覚えのある男が同じくケーキと10本のロウソクを買っているのを見かける。男の後をつけてとあるレストランに行き着いたホソクは、男が家族と楽しそうに誕生日を祝っている様子を窓越しに見てしまう。実はこのシーンが冒頭で描かれるストライキの場面に繋がる。



Netflix映画『もしもの愛』


 本作のモチーフになっているのは2009年に起きた韓国国内では5番目に大きい双竜自動車のストライキである。2009年4月、双竜自動車は従業員の約36%に当たる2,646人の人員削減計画を発表。労働者たちは人員削減を拒否して工場を占拠し、バリケードを築いて立て籠る。それから数ヶ月後、ストライキに参加しない数千人の従業員が工場奪還を試みるが、武装したストライキ参加者たちによって撃退される。さらに数月後、警察の特殊部隊が工場に乱入し、労働組合は占拠を終結させる同意書にサイン。抵抗を続けていた従業員の約半数は再雇用が約束され、残りの半数は自主退職することになり、どちらも拒否した165人は解雇される。


 解雇された従業員の多くは再就職が叶わず、ストライキ後にPTSDを発症したことが高麗大学の記録に残されている。解雇組は“死者”、残れた人間は“生者”と呼ばれたことは映画でも描かれている。つまり、文字通り幽霊のように暮らすホソクは“死者”であり、ケーキ屋で出会った幸せそうな男は“生者”なのだろう。




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