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ヒッチコック唯一の3D映画『ダイヤルMを廻せ!』から読み解くヒッチコックと3Dの関係

ヒッチコック唯一の3D映画『ダイヤルMを廻せ!』から読み解くヒッチコックと3Dの関係


第1次3D映画ブームの始まり(5)



 その回答の1つが3D映画だった。きっかけを作ったのは、カメラマンのフレンド・ベイカーである。彼が作った16mmカメラによる3D撮影システムに、ミルトン&ジュリアンのガンズバーグ兄弟が注目し、共同でナチュラルビジョン社を設立した。彼らは、ミッチェルNCという35mmカメラを2台向かい合わせにし、V字型に配置した表面反射鏡で光軸を正面に向けるリグを考案。こうして1951年に「ナチュラルビジョン・カメラシステム」が完成し、アメリカ空軍の地形測量や兵士の訓練用に売り込んだ。


 これに注目したのが、偏光フィルターの量産技術を開発したポラロイド社である。同社は、偏光式3D映画を普及させたいと真剣に考えており、博覧会向け短編映画をプロデュースしてきたものの、なかなか爆発的な流行に至らず苦戦していた。そこでポラロイド社は、1年間限定でナチュラルビジョン社に偏光メガネを独占供給する契約を結ぶ。ナチュラルビジョン社は、メガネ1つ6.7セントで1億個購入し、映画館に10セントで販売する計画を立てた。


 ナチュラルビジョン・カメラシステムで最初に撮影された劇映画は、ラジオ製作者のアーチ・オボラーが製作・脚本・監督を務めた『ブワナの悪魔』(52)である。その出来は素人同然だったが、ユナイテッド・アーティスツの配給によって公開されるや否や大ヒットとなる。この結果を知ったハリウッドの各スタジオは大騒ぎとなり、パラマウント、ユニバーサル、20世紀フォックス、MGM、コロムビアなどの大手から、アライド・アーティスト・ピクチャーズ、パークレーン・ピクチャーズ、リアラート・ピクチャーズといった弱小スタジオまで、突貫工事で自前の3Dカメラを組み立て、こうして第1次(*7)の3D映画ブームが始まった。


*7 第2次3D映画ブームは1980年代に起きている。また、2005年にラスベガスで開催された映画興行関係者向けのコンベンション「ShoWest 2005」(現CinemaCon)でのシンポジウムをきっかけとして、第3次の3D映画ブームが始まり、現在もアメリカと中国を中心に続いている。



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