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スタローンを復活させた『クリフハンガー』大ヒットの裏側とは

(c)Photofest / Getty Images

スタローンを復活させた『クリフハンガー』大ヒットの裏側とは

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紆余曲折あった完成までの道のり



 レニー・ ハーリン監督の悪趣味な残虐シーンが『クリフハンガー』の劇中にあり、それを嫌がったスタローンが自腹を切って再撮影させた話は本当なのか、という部分にも言及。「それは事実だよ。完成した初号試写でカロルコの役員たちや、大手劇場チェーンの重役たちが観てゲンナリしたシーンがあったんだ。それはテロリストたちがウサギを射殺する残酷なシーンだったんだけど、別に殺さなくてもいいのにわざわざそれを本編で見せる必要があるのかと圧倒的に否定する意見が多々あった。


 俺はレニーがホラー映画好きと聞いていたので、悪趣味ではあるもののさほど気にしていなかったが……。確かに出来上がった本編を通して観たら不必要な気がしたので、マリオやレニーと相談して再撮影はできないかと意見交換することになった。しかし、予算がないのでどうしようもないとの結論になったから、俺に支払われるギャラから10万ドル使っていいので再撮影をやって、ウサギの虐殺シーンはなくしてくれと頼んで完成させた、っていうのが真実なんだ」


『クリフハンガー』予告


 『クリフハンガー』ではカットされたシーンや、テロリストのボス役が決定するまで紆余曲折していた話も伺う。「俺が演じたゲイヴはレニーとも綿密なディスカッションを繰り返し、ジョン・ランボーじゃないので銃を劇中で使うことには反対したんだ。だが、ゲイヴがテロリストから銃を奪うシーンも撮影したりとか、一応撮ってはいたけれども、山岳救助隊員が銃器を使うことに俺自身が抵抗あったし、自分で脚本も書いていたこともあって、そこは丸腰で戦うほうが、観客側にゲイヴというキャラクターは好戦的な人間ではないと伝わると思ったんだよ。


 ゲイヴと親しかった少年二人がテロリストらに襲われるシーンで1人が殺されてしまう部分も必要か不必要かでカットすることも考えたが、テロリストたちの残虐性を醸し出すほうが良いだろうとの判断で削除しなかった。観客からは子どもを殺すシーンは不快とか言われたけどね。


 テロリストのボスを演じたジョン・リスゴーが決まるまでは大変だった。当初はデヴィッド・ボウイを予定していて、レニーが直接交渉していたんだが、雪の積もる山頂での撮影に難色を示し交渉は上手くいかなかった。それからキャスティング担当がなんとかクリストファー・ウォーケンを口説き落とし、プリプロダクション段階では問題なかったが、理由は不明だったが撮影直前で降板したいとウォーケンは降りてしまったんだよ。


 その後、レニーは『リコシェ』(91)と『レイジング・ケイン』(92)での悪党っぷりに目を付け、ジョン・リスゴーへオファーしたんだ。無茶なスケジュールだったが出演してくれたことには感謝しかないね。」



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