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不遇の名作『ラスト・ボーイスカウト』当時史上最高額の脚本に反映された、シェーン・ブラックの人生の悲しみ

不遇の名作『ラスト・ボーイスカウト』当時史上最高額の脚本に反映された、シェーン・ブラックの人生の悲しみ

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バディムービーの元祖ブラックスプロイテーション



 「バディムービー」とは直訳すれば「相棒映画」。つまり二人の登場人物(主に刑事)が、事件解決のために奔走する映画のことだ。1970年に製作されたバディムービーの元祖、『ロールスロイスに銀の銃』では、二人の黒人刑事(「墓掘りジョーンズ」と「棺桶エド」というスゴいあだ名をもつ)がニューヨークのハーレム地区を舞台に金を奪い合う悪党たちを追い詰める。同作は黒人向けの娯楽映画、「ブラックスプロイテーション」第一号とも言われ、スパイク・リーは監督のオジー・デイヴィスに敬意を払い、自作に彼を役者として何度も出演させている。


 『ロールスロイスに銀の銃』は世界中で大ヒットしたため、以降、「バディムービー」はハリウッドのアクション映画の定番の型となっていく。この形式のメリットは、コンビを組む人物それぞれのキャラクターが立ちやすいことにあるだろう。それぞれの個性を全く異なる設定、つまり「でこぼこコンビ」(懐かしい言い方だ)にすることで、お互いが引き立てあうという相乗効果が生まれるのだ。さらにお笑いコンビのように一方がボケ(反社会的で過激な行動)、もう一人がツッコミ(たしなめ、批判する)の役割を担うことで、アクションや会話にリズムが生まれ、映画が勢いを持つ効果もある。




 このような「バディムービー」の効果を最大限に引き出すため、80年代にはコンビを組ませるキャラクターの個性にいかにしてギャップを設定するか腐心した作品が数多く作られた。


 白人刑事のニック・ノルティと黒人の犯罪者エディ・マーフィがコンビを組む『48時間』(82)。『レッドブル』(88)ではソ連の刑事アーノルド・シュワルツェネッガーと、アメリカの刑事ジェームズ・ベル―シがシカゴを舞台に暴れまわった。さらに相棒刑事がゾンビなってしまう『ゾンビコップ』(88)やジャームズ・カーンが異星人とコンビを組む『エイリアン・ネイション』(88)など、とにかく、2人の個性になるべくギャップがあることが最上とされ、考えうる限りの「バディ」は80年代に絞り出された感がある。



 そんな中90年代初頭に登場したのが『ラスト・ボーイスカウト』だったのだが、同作がバディムービーの中でも、ひと際異彩を放っているのは、名脚本家、シェーン・ブラックの作家性に負う所が大きいと、筆者は考える。



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