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『ファイト・クラブ』映画史に強烈な爪痕を残した凄みとは?

(C)2014 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

『ファイト・クラブ』映画史に強烈な爪痕を残した凄みとは?

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欺かれ続けた世代のアンチヒーロー、タイラー・ダーデン



 不安や期待とともに見た映画『ファイト・クラブ』は、想像をはるかに超えていた。肉体の痛みをダイレクトに伝える殴り合いの描写は、皮膚に刻まれた痣や折れた歯、充血した青紫色の歯茎から強烈に伝わってくる。”僕”を演じたエドワード・ノートンは世代の共通した虚無感や敗北感を痛いほどリアルに表現している。そして、『セブン』に続いてフィンチャー作品に出演したブラッド・ピットは、クールと呼ぶにふさわしいタイラーのカリスマ性を体現していた。



『ファイト・クラブ』(C)2014 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.


 ここでタイラーの名言をいくつか挙げてみよう。


 「すべてを失って、初めて真の自由を得る」


 「君たちは伸びるべき可能性を潰されている。宣伝文句に煽られては要りもしない車や服を買わされる。世界大戦も恐慌も経験していないのに、毎日の生活は大恐慌だ。テレビは“君も明日はスーパ―スターか億万長者”と言うが大ウソだ。そんな現実を知り、俺たちはムカついている」


 「職業がなんだ? 財産がなんの評価になる? 人は財布の中身でもファッションでもない」


 アメリカン・ニューシネマの名作『イージー・ライダー』(69)で、ジャック・ニコルソンは”金のために生きているヤツは自由にはなれない“という名セリフを残したが、それをより具体的に、現代的に語ったブラッド・ピット。タイラーは金や物、地位や名誉に縛られている現代人とは対極にある。自由人とは、つまりはそういうことだ。



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