(c) 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.
『ダンケルク』演技の才能を開眼させた人気ミュージシャン、その後のキャリアを考えさせる
日本では音楽と演技の両立が一般的?
俳優として大スターになって、趣味的にミュージシャンとして活動している人も、ことのほか多い。ジョニー・デップやキアヌ・リーヴスが好例だし、あのブルース・ウィリスもじつはレコーディング・ミュージシャンとして活躍していた時期があり、音楽が大好き。『ラスト・ボーイスカウト』のキャンペーンで来日したときの、こんなエピソードがある。体調不良(じつは二日酔い)を理由に取材をドタキャンしたウィリスは、「今夜の俺のライヴを聴きにきたら、インタビューを受ける」と、とんでもない提案。取材陣は夜中、六本木のライヴハウスで彼とそのバンドの、とんでもなく下手くそな演奏を聴かされた……と、今となってはブルースの「俺様伝説」として語り継がれている。
そして日本に目を向けると、ミュージシャンと俳優の両立は、むしろ一般的といえる。福山雅治や星野源を代表格に、GACKTやピエール瀧、峯田和伸ら演技で独特な才能を発揮する才能が目につく。広い意味でいえば、ジャニーズのタレントなどは両立がマストだ。柴咲コウ、松たか子、沢尻エリカら、女優も音楽活動に積極的な面々が多い。浜崎あゆみもキャリアの初期には『渚のシンドバッド』などで類い稀な演技力を発揮していた。
ワン・ダイレクションのハリー・スタイルズは、2017年の現段階で、『ダンケルク』の後に映画の新作に出演するかどうかは決まっていない。しかし、もし出演作が『ダンケルク』だけになったとしても、エミネムやビュークのように記念碑的な一作になるのは間違いない。もちろんジャスティン・ティンバーレイク的なキャリアを歩むことも可能だ。いずれにしても初出演映画が『ダンケルク』だったことは、ハリー・スタイルズにとってこの上ない幸運だったのだ。
文: 斉藤博昭
1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。スターチャンネルの番組「GO!シアター」では最新公開作品を紹介。
(c) 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト: http://wwws.warnerbros.co.jp/dunkirk/
※2017年9月記事掲載時の情報です。