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アルフレッド・ヒッチコック、ハリウッド進出第二弾『海外特派員』の尋常ではない面白さ

アルフレッド・ヒッチコック、ハリウッド進出第二弾『海外特派員』の尋常ではない面白さ


※本記事は物語の核心に触れているため、映画をご覧になってから読むことをお勧めします。


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スリラーはB級扱いだった当時のハリウッド



 『めまい』(58)や『サイコ』(60)といった超有名作に比べると、そのタイトルの知名度は劣るかもしれない。だが、そのクオリティは折り紙付きで、ファンの間でも揺るぎない人気を誇る一作と言っていい。それも専門的な知識を一切必要とせず、いざ見始めると誰しもを分け隔てなく魅了してやまない。それがこの『海外特派員』(40)なのだ。ヒッチコック初心者として一作ずつ鑑賞を重ねている筆者も、この尋常ではない面白さに大きな衝撃を受けた。


 本作はヒッチコックがイギリスからハリウッドへ進出して2本目の監督作である。


 例によってヒッチコック映画の鑑賞のお供として書籍「定本 映画術」(晶文社)を紐解くと、まずそこには当時のイギリスとアメリカの映画製作に関する「違い」が記されていた。ヒッチコックとトリュフォーの対話形式で書かれたこの本で、二人はまず『海外特派員』がB級映画として製作された経緯を論じている。ヒッチコックの言葉を要約すると以下のようになるだろうか。



 「イギリスでは、冒険小説やスリラー小説は立派な文学のジャンルでもある。ところがアメリカでは事情が違う。全くの二流扱いだ。これが映画となると、さらに輪をかけて低次元の娯楽としての扱いを受ける」


 それゆえ、彼はキャスティングの面でも難題に直面した。脚本が完成すると真っ先にゲイリー・クーパーに出演依頼したものの、「スリラーには出ない」という理由で一蹴されたのだ。ただ、結果から見ると、本作は名実ともに大きな反響を巻き起こし、歴史に名を残す作品となった。ずっと後になって、ヒッチコックはクーパーから「あのオファーを断ったのは間違いだった」と告げられたという。



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