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『スパイ・ゲーム』わずかなヘリ撮影シーンに垣間見るトニー・スコットの意匠

『スパイ・ゲーム』わずかなヘリ撮影シーンに垣間見るトニー・スコットの意匠


投影された、レッドフォードとブラッド・ピットの師弟関係



 『スパイ・ゲーム』はトニー・スコットが2001年に発表したサスペンス・アクション大作である。もともとは『キャラクター 孤独な人の肖像』(97)でアカデミー賞外国語映画賞を受賞したオランダの映画監督マイク・ファン・ディムのハリウッド進出作として準備されていたそうだが、幾多の事情が重なって彼は降板することとなり、代わりに手堅い人選としてスコットに話が回ってきたという。


 全体の3分の2が回想シーンから成る本作は、一つ作り方を間違えると現在地のわかりにくい映画に陥るリスクがあった。だがスコットはまさにそこに勝機を見出した。アメリカ、ベトナム、ドイツ、ベイルート、中国という国々が織り成す回想シーンを、音や映像で描き分けることで、観客を客席にいながらにして世界各地へといざなう面白い効果が生まれるのではないか、と考えたようだ。


 そのため、各国のシーンでは色調がガラリと異なっており、そこにほとばしる温度、空気、陽光、街の外観、人々の営みも全く違う。これらの要素は本作のリアリティを高める大きな鍵となった。


 そして、本作のもう一つの見どころと言えば、やはりキャストに尽きるだろう。


 2000年代の多くの作品で名優デンゼル・ワシントンを起用し続けたスコットだが、本作はロバート・レッドフォードとブラッド・ピット(彼は『ボーン・アイデンティティ』(02)のオファーを蹴って本作を選んだ)という二大俳優の共演をダイナミックに描いた貴重な作品となった。このキャスティングを是非にと後押ししたのも、先に決まっていたスコットだったという。



 レッドフォードとブラッド・ピットは、かの名作『リバー・ランズ・スルー・イット』(92)で監督、主演をそれぞれ担った師弟コンビでもある。当時から「似てる!」と言われ続けた彼らが、あれから10年ほどの歳月が流れ、本作でも現実の延長線上のようにCIAのベテランと新米という師弟関係を演じているのである。これは単なるフィクションとドキュメントの違いを超えた、非常に興味深い事態と言えよう。



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