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孤高のヒーロー『ヘルボーイ』に垣間見る、ギレルモ・デル・トロのコミック愛

MOTION PICTURE (C) 2004 REVOLUTION STUDIOS DISTRIBUTION COMPANY, LLC. ALL RIGHTS RESERVED. TM, (R) & Copyright (C) 2013 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.

孤高のヒーロー『ヘルボーイ』に垣間見る、ギレルモ・デル・トロのコミック愛


アメコミ業界の三番手、ダークホースコミックスとは



 米国におけるコミックス、すなわちアメリカン・コミックスの出版会社といえば、「スパイダーマン」「アイアンマン」などを生んだマーベル・コミックと、「バットマン」「スーパーマン」などを創造したDCコミックスが有名だ。この二大老舗出版社に追随するのが、アメコミ業界の第三勢力、ダークホースコミックスだ。キャメロン・ディアスの長編映画デビュー作となった『マスク』(94)や、ブルース・ウィリス出演の『シン・シティ』(05)、ザック・スナイダー監督の『300 〈スリーハンドレッド〉』(06)などもダークホースコミックス原作の映画作品群なのだ。


 マーベル・コミック、DCコミックスは、第二次大戦以前から続く、極めて歴史の長い出版会社だ。ダークホースコミックスはこの老舗と比較すると非常に歴史の浅い会社だが、その設立から現在に至るおよそ30年間で、アメコミ業界の三番手にまで猛追する勢いだ。ダークホースコミックスは『スター・ウォーズ』(77)『ロボコップ』(87)『プレデター』(87)など既存の人気映画のライセンス(コミックス化の権利)を取得し、さまざまな映画作品をベースとする種々のコミックスを出版してきた。これがドル箱となり、会社の隆盛を後押しした。また日本や韓国などアジアの漫画にも手中を伸ばしており、士郎正宗の「アップルシード」「攻殻機動隊」、大友克洋の「AKIRA」などアジアの漫画の英語翻訳版を出版したりしている。



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 日本の漫画の場合は、作画はもちろん物語、登場人物の設定などをすべて作者ひとりで創り出すのが基本で、たとえば「ONE PIECE」の作者といえば、尾田栄一郎そのひとだが、アメコミの場合はこれが当てはまらない。アメコミでは脚本を書くライター、下絵を描くペンシラー、下絵に墨入れをするインカー、モノクロ原稿に彩色を施すカラリスト、仕上がったカラー原稿にセリフを入れるレタラーと、完全分業制となっており、「スパイダーマン」を生み出した人物こそ、かの有名なスタン・リーとスティーヴ・ディッコではあるが、現在までに「スパイダーマン」を担当したクリエイターは数多く存在する。これは各コミックス誌の権利は出版会社に帰属する契約のためだ。会社が権利を有している以上、アーティストの交代などは会社の一存によって左右されてしまう。


 日本ではありえないことだが、米国のコミックス業界では至極当然の契約だという。しかしダークホースコミックスでは、業界では常識的であるこの契約を重要視はしていないようだ。同社では、各コミックスの版権等はクリエイター自身に帰属する契約となっている。クリエイターを第一とする姿勢こそ、同社が数十年あまりの短い期間で業界の三番手にまで躍り出た理由なのだろう。その為、『ヘルボーイ』を世に放ったマイク・ミニョーラは、現在までにほぼ全ての『ヘルボーイ』作品に携わっている。多忙のため作画などを別のクリエイターに任せることもあったが、どの作品を読んでもミニョーラの名前は必ずクレジットされている。93年の誕生から現在に至るまで、ここまで長年にわかってひとつのキャラクターにかかわるというのは、アメコミ業界では極めて珍しい事例なのだ。



<参考>

映画『ヘルボーイ』(2004)劇場用プログラム

ヘルボーイ:壱 ~破滅の種子/魔神覚醒~」(小学館集英社プロダクション)マイク・ミニョーラ(著)/堺三保(訳)



文: Hayato Otsuki

1993年5月生まれ、北海道札幌市出身。ライター、編集者。2016年にライター業をスタートし、現在はコラム、映画評などを様々なメディアに寄稿。作り手のメッセージを俯瞰的に読み取ることで、その作品本来の意図を鋭く分析、解説する。執筆媒体は「THE RIVER」「IGN Japan」「リアルサウンド映画部」など。得意分野はアクション、ファンタジー。



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作品情報を見る




『ヘルボーイ』

Blu-ray: 1,886 円+税/DVD: 1,429 円+税

発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

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※2019 年8月の情報です。

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