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『アラビアのロレンス』スピルバーグに監督になることを決意させた圧倒的な映像世界

『アラビアのロレンス』スピルバーグに監督になることを決意させた圧倒的な映像世界

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今なお普遍性を持って訴えかけてくるロレンスの伝説



 『アラビアのロレンス』は第35回アカデミー賞で10部門にノミネートされ、作品賞を含む7部門にてオスカー像を獲得した、まさに映画史の至宝とも呼ぶべき一本だ。


 舞台は1910年代の中東。西側諸国の様々な思惑が渦巻く中、英国政府から派遣されて砂漠入りした陸軍将校T.E.ロレンス(ピーター・オトゥール)がこれまでバラバラだった各部族を結集させ、彼らがオスマン帝国からの独立を求めて戦いを繰り広げる上での、“旗印”となっていく。


 通常、「上映時間が優に200分を超える」と聞くと、賢明な映画ファンも多少腰が引けてしまうもの。しかしこれは決して古びたクラシックとして語るべきものではなく、かといって細かな芸術論をちまちま語りあうような作品でもない。今なお観る機会さえ得られれば、観る者を瞬時に映画の内的宇宙へと引き込んで放さない。そんな圧倒的なスケールと磁場を持った作品である。




 「真のロレンス像」をめぐっては今なお議論が続く。描かれた内容の中立性、正確性などの面で批判があるのも事実だ。我々はこの映画の鑑賞や批評だけに甘んじることなく、これをきっかけに公開後半世紀を経ても一向に解決の糸口が得られない中東情勢をよりしっかりと見つめるべきなのは明らかだ。


 とはいえ、アウトサイダーながら無謀な挑戦を続ける主人公ロレンスがそれらの議論を超えた「一人の人間」として多くの者を魅了するのも確か。砂漠という無限のキャンバスに浪漫を馳せ、情熱を燃やしながら、それでも最終的には理想とは懸け離れたところへと転落していってしまう悲しみにも、ギリシア悲劇やシェイクスピアに通じるある種の“普遍性”を抱かずにいられない。



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