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『アラビアのロレンス』スピルバーグに監督になることを決意させた圧倒的な映像世界

『アラビアのロレンス』スピルバーグに監督になることを決意させた圧倒的な映像世界

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砂漠の真ん中でのテント生活で築かれた驚くべき結束力



 もし今の時代、『ロレンス』のような映画を作るとしたら一体どう撮るだろうか。理想論でいえば、どんな作り手でも最初はリアルな砂漠でのロケ撮影を望むはず。だが現実的にプランを練り始めると、資金面や効率性、安全性といったあらゆる観点から見て、決してそれは有効な方法ではないと結論づけ、CG処理となってしまう気がする。


 そう考えると、CGという選択肢が全くなかった’62年という時代に、あらゆる不便性に抗いながら、いや、むしろあらゆる不便性を乗りこなしながら、この映画が生まれたこと自体、奇跡的としか言いようがない。


 さすが完璧主義者にして、自然主義者のリーン監督。もちろん『戦場にかける橋』(57)という超大作を乗りこなした実績があったからこそ、次の段階へと進むことができたわけだが、それにしても作り物でごまかすことなく、自然をありのままの姿で描き尽くそうとするリーン監督の気高さたるや、今見ても息を呑むほどに圧倒される。




 また、彼もすごいが、それに続くスタッフの情熱も凄まじい。彼らは皆、ヨルダンの砂漠に張ったテントで寝泊まりしながら、集団生活によって得られた一個師団のごとき結束力でこの驚くべき映像をフィルムに焼き付けていったそうである。


 灼熱の大地、熱風、それから突き刺すような陽光は容赦なくクルーを襲った。それによって噴出する問題も山積していたという。


 例えば彼らは、撮影中、フィルムにシミができるという不思議な現象にも悩まされたが、この原因もまた“暑さ”にあった。彼らは使用していたパナビジョン65ミリカメラを濡れタオルで随時冷やし、なおかつフィルムを食品貯蔵用の冷蔵トラックに入れて保管することを思いつき、なんとか事なきを得たそうだ。かくも前例のない砂漠での長期に及ぶ撮影ゆえ、毎日が正解のない答えを必死に手探りで求めることの連続だったのである。



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