ヒットはしていないが成功を収めた珍しいケース
こうして、ウィル・スミスとマーティン・ローレンスはスターダムを駆け上っていくが、本作の興行成績はそこまで高くなかった。ヒットの指標となる1億ドルをアメリカ国内だけの興行成績では突破しておらず、アメリカ国内だけで6,500万ドルという意外と低い数字である。同じ年に公開された『花嫁のパパ2』や『9か月』という作品よりも下だった。これは、先に書いたように、テレビでは人気者だった主演の2人が、映画スターとしてはまだまだこれからだったということが理由だろう。ウィル・スミスは次の作品『インデペンデンス・デイ』(96)にてブロックバスター俳優へと大きく飛躍していった。
『インデペンデンス・デイ』予告
多くの人が『バッドボーイズ』を記憶しているのは、恐らく劇場ではなく、ビデオやテレビ放映でウィル・スミス作品として見た結果であろう。2人の絶妙なコンビネーションに、マイケル・ベイの爆発やカーチェイスという派手で斬新な演出、そしてマイアミというエキゾチックなロケーション、クールな音楽…… 何もが斬新で印象に残った。だから私たちは『バッドボーイズ』を今でも鮮明に記憶しているのだ。
文: 杏レラト<あんずれらと>
雑誌「映画秘宝」(洋泉社)を中心に執筆。著書『ブラックムービー ガイド』(スモール出版)が発売中。
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