結果的に今を映し出した映画になった
Q:80年代が舞台だとはいえ、恐ろしいくらい現代と重なりあっています。それはあなたの狙いだったのでしょうか?
フィリップス いや、結果的にそうなったんだ。僕たちも驚くほど、今の時代を映し出した映画になってしまった。
でも、この映画を観た人たちが、現実について考えることになるのなら嬉しいよ。僕たちは革命を起したくて本作を作ったわけじゃないが、「革命を起したいと思わせるようないまの時代について話そう」という感じで作ったとは言えるかもしれないからね。
社会や経済のシステム、ヘルスケアやそのシステム、そして何より弱者や社会のはみ出し者への視線。自分が身を置く社会を改めて見つめ直すきっかけになれば、フィルムメーカーとしてとても名誉なことだ。
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監督/共同脚本/製作:トッド・フィリップス
ニューヨーク大学芸術学部の学生だったころに、ドキュメンタリー作家としてキャリアをスタートさせた。カルトクラシックコメディ『ロード・トリップ』(00・未)で長編映画の脚本と監督を初めて担当。「ボラット栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」 (06) の脚本で、米アカデミー賞最優秀脚色賞にノミネートされた。
2018年10月より全米および世界各国で公開された米アカデミー賞ノミネート作『アリー/スター誕生』(18/出演:ブラッドリー・クーパー、レディー・ガガ)では製作を担当した。この作品は、米アカデミー賞8部門にノミネートされ、世界興収4億ドル超をあげている。
コメディドラマ『ウォー・ドッグス』 (16・未/出演:マイルズ・テラー、ジョナ・ヒル)の脚本・監督・製作を担当。ヒルはゴールデングローブ賞男優賞にノミネートされた。
09年、大ヒット作『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(出演:ブラッドリー・クーパー、エド・ヘルムズ、ザック・ガリフィナーキス)を監督。この作品は、ゴールデングローブ賞コメディ/ミュージカル映画部門最優秀作品賞を獲得した。次に、その続編『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』 (11)と「ハングオーバー!!!!最後の反省会』(13) の脚本と監督を担当。この3部作は、トータルで世界興収14億ドルを突破した。
また、『アダルトスクール』 (03・未/出演:ルーク・ウィルソン、ウィル・フェレル、ピンス・ボーン)の脚本・監督・製作を担当。ほかにも、『ロード・トリップ』(00・未)、『スタスキー&ハッチ』 (04・未)、『デュー・デート~出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断~』(10/出演:ロバート・ダウニー・Jr. 、ザック・ガリフィナーキス)といった大成功を収めたコメディ作品でも、脚本・監督・製作を担当し、クレイジーなダークコメディ『プロジェクトX』 (12・未)では製作を担当した。
キャリア初期には、事実は小説より奇なり"と言われるように、日常生活のリアリティや思い込みから生まれるユーモアにインスパイアされたドキュメンタリー作品を作っていた。93年、ニューヨーク大学芸術学部の学生だったころに、エクストリーム・パンクロッカーのGGアリンの過激なパフォーマンスを描いた『全身ハードコア GGアリン』 (94) を監督し、すぐにアンダーグラウンドでセンセーションを巻き起こした。94年にこの作品は劇場公開され、当時の学生映画として最高収益をあげた。98年には、HBO放送シリーズ「America Undercover」 (83~13) のために製作したドキュメンタリー「Frat House」で監督を務め、98年度サンダンス映画祭でプレミア上映されてドキュメンタリー部門の審査員大賞を受賞した。大学の友愛会での生活をすっぱ抜いたこの作品は、物議をかもし、最終的にHBOはこの映画を棚上げする決定を下した。製作と監督に携わった3番目のドキュメンタリー「ビタースウィート・モーテル』(00・未)は、熱狂的現象を巻き起こした音楽バンド“フィッシュ”を取り上げている。
現在、カリフォルニア在住。
取材・文:わたなべまき
映画ライター。『TVブロス』『SFマガジン』『アニメージュ』等に執筆中。押井監督の初の人生相談本『押井守の人生のツボ』では編集と執筆を担当した。
『ジョーカー』絶賛公開中
配給:ワーナー・ブラザース映画
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