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今のハリウッドの風潮に風穴を開けたい。『ジョーカー』トッド・フィリップス監督【Director’s Interview Vol.44】

今のハリウッドの風潮に風穴を開けたい。『ジョーカー』トッド・フィリップス監督【Director’s Interview Vol.44】

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ジョーカーを演じた役者たちの共通点



Q:映画の雰囲気はニューシネマですよね。『タクシードライバー』(76)だったり『キング・オブ・コメディ』(82)だったり。


フィリップス:あとは『セルピコ』(73)とか『カッコーの巣の上で』(75)とかね。つまり僕は、そういう映画を作りたかったんだよ。70~80年代のハリウッドでは当たり前のように作られていた映画。僕が若い頃、夢中になった映画だ。


Q:ということは、ロバート・デ・ニーロが出演しているのは、あなたにとって必然だったんですね?


フィリップス:そうそう、まさに必然。『タクシードライバー』や『キング・オブ・コメディ』を観ている人には、今回のロバートのトークショーのホスト役というのはウケると思うんだ。


 でもさ、実を言うと、まさかロバートが出演してくるとは思っていなかったんだよ。彼に脚本を渡し、彼の家で話し合ったあとOKを出してくれたときには本当に驚いた。脚本を気に入ってくれたし、僕たちの意図も判ってくれたからだけど、それにしても「まさか!」って感じだったね。




Q:アーサー/ジョーカーを演じたホアキン・フェニックスは? 彼もファーストチョイスだったの?


フィリップス:そう、ファーストチョイスだ。これまでジョーカーを演じた役者、ジャック・ニコルソン、ヒース・レジャー、ジャレッド・レトたちの共通点は何だと思う?


Q:その全員がオスカーを取っている演技派、ですよね?


フィリップス:それもある。でも、僕がもっとも重要視した共通の要素は大胆不敵さなんだ。彼らは恐れをしらない。いい演技を引き出すためには何でもやる。現在、活躍しているなかで、そういう役者を探してみると、ホアキン・フェニックス以外、頭に浮かばなかったんだ。彼なら徹底的に役作りをしてくれるはずだし、素晴らしいジョーカーを演じてくれると思っていた。だから実は脚本も、ホアキンを念頭において書いたもの。彼にNOと言われたら途方に暮れていたよ(笑)。




Q:なるほど! でもホアキンは、すぐには引き受けられなくて「笑いのオーディションをやってもらった」と言ってました。


フィリップス:そうなんだよ(笑)。「あんたが僕たちのファーストチョイスだから、そんな必要はない」って言ったのに「やってくれ」と言ってきかなかった。


彼は僕のまえで、さまざまな「笑い」を見せてくれた。スゴかったよ。本当に笑えるものから、目を背けたくなるものまで、あらゆる笑いを演じたんだ。それを見て僕は、自分たちの目に狂いがなかったことを確信したんだ。



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