A24は、僕たちの作家性を完全に信頼してくれる
Q:まさに渇望、ですね。そういったアリ監督の創作欲や作家性をフルに活かせるのが、「A24」というスタジオだと思います。日本でもこの数年、「A24作品は面白い」が映画ファンの定説になりつつあります。アリ監督が思う、A24の特徴的な部分を教えてください。
アリ:やっぱり会社自体のテイストが素晴らしいよね。A24のトップの人たちは、若いクリエイターやスタッフに対しても、すごく信頼してくれるんだ。(経験が浅い)若いスタッフも映画というメディアとしっかり向き合っている、ということをわかってくれているから、彼らが若いアーティストをトップに勧める機会をもらえる。
そして、ここが他のスタジオとの最大の違いだと思うんだけど、一旦「このクリエイターを信頼しよう」と決めると、完全にその人の作品作りを応援してくれるところ。
“ヒットの方程式”みたいなものを持ち出して、「これだったら商業的にいけるんじゃないか」みたいな要求をされることは一切ないし、逆に言うと、彼らが「この人と組もう」と思うこと自体が、「自由に作品を作らせよう」という全幅の信頼の証でもある。
Q:アーティストとスタジオの理想的な関係性ですね。
「A24の方程式」があるわけではなく、アーティストたちを応援し、彼らの映画作りをサポートしているからこういうラインナップになるんだろうね。興行的に成功するかどうかは未知数だけど、少なくともアーティスト自身から生まれた作品だから、やっぱり面白いものになるんじゃないかな。例えば大きなスタジオの真似をして、「A24版」を作れみたいなことを彼らは一切言わない。
あと、僕はニューヨークに住んでいるからニューヨーク系の作家が多いんだけど、A24の他の映画作家たちとは、ほとんどが友だちなんだ。同じイベントで顔を合わせることも多いしね。僕たち全員が、こうやって会社にサポートしてもらえていることを本当に光栄に思っているよ。
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監督・脚本:アリ・アスター
1986年、アメリカ・ニューヨーク生まれ。アメリカン・フィルム・インスティチュートで美術修士号を取得。『The Strange Thing About the Johnsons』<未>(11)、『Munchausen』<未>(13)、『Basically』<未>(14)など、いくつかの短編を脚本・監督。2018 年の長編初監督作品『ヘレディタリー/継承』がサンダンス映画祭で上映されると、批評家から絶賛され、世界中の映画誌、映画サイトのベスト作品に選出された。同作はアリ・アスター監督がサターン賞新進監督賞を受賞したほか、ゴッサム賞、ブロードキャスト映画批評家協会賞、インディペンデント・スピリット・アワード、オンライン映画批評家協会賞など多数の映画賞にノミネートされ、主演のトニ・コレットは数々の主演女優賞を受領した。
取材・文: SYO
1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライターに。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」「FRIDAYデジタル」「Fan's Voice」「映画.com」等に寄稿。Twitter「syocinema」
『ミッドサマー』
2020年2月21日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷他 全国ロードショー
提供:ファントム・フィルム/TCエンタテインメント
配給:ファントム・フィルム
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