1. CINEMORE(シネモア)
  2. CINEMORE ACADEMY
  3. 【CINEMORE ACADEMY Vol.4】撮影編 映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』の作り方
【CINEMORE ACADEMY Vol.4】撮影編 映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』の作り方

【CINEMORE ACADEMY Vol.4】撮影編 映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』の作り方


映画は、どうやって「作られる」のだろうか? 


映画の成り立ちを知れば、作品鑑賞はもっと面白くなる――。そこでCINEMOREでは、「CINEMORE ACADEMY」と題し、映画の作り方をクリエイターに学ぶプロジェクトを“開講”、映画製作の“リアル”をお届けする。


今回、講師に迎えるのは、『新聞記者』(19)で日本映画界に革命をもたらした俊英・藤井道人監督。9月4日公開予定の最新作『宇宙でいちばんあかるい屋根』を題材に、今回の映画をどのように作ったのか、詳しく伺っていく。


「企画編」「脚本編」「プリプロダクション編」に続く今回は、「撮影編」。藤井監督と『スワロウテイル』(96)や『キル・ビル』(04)などの製作も担当した前田浩子プロデューサーの黄金コンビに加え、撮影監督を務めた上野千蔵氏も同席。


同氏は、数々の広告やミュージックビデオを手掛け、国内外の広告賞を多数受賞している敏腕撮影監督。藤井監督による、ロックバンド「amazarashi」の『未来になれなかったあの夜に』のMVでも撮影を担当している。


監督・撮影監督・プロデューサー……エキスパートたちが紡ぐ貴重な裏話、そしてものづくりへの情熱を、今回も余すところなく収録。映画の見方がもっと深く、面白くなる鼎談に、しばし目と心を傾けていただきたい。


Index


縁の下の力持ち、チーフ助監督の存在



Q:今回は「撮影編」ということで、細かくお話を伺えればと思います。まず、撮影の際に必ずやっているルーティンがあれば、教えてください。


藤井:だいたい撮影当日は、家の近くのファミリーマートでロケバスに拾ってもらうのですが、コーヒーとクロレッツとレッドブルとタバコを絶対買っていきます。そのルーティンはどんな作品でも一緒で、ロケ弁の朝食がおにぎりじゃなくてパンだったときは、一度ロケバスを降りて、おにぎりも買ってから乗り込みます。


Q:具体的にありがとうございます。おかげで、臨場感がわいてきました。ちなみに藤井組は、どんな感じで撮影がスタートするのでしょう?


藤井:撮影開始の1時間くらい前にスタッフが集まって、助監督が作ってくれる香盤表(当日の進行表)をみんなで見て、打ち合わせます。うちの組はすごく大らかなので、コーヒーを飲みながら雑談しつつ進めていきます。時間になったら役者が入ってきて、「じゃあお願いします」という感じです。


Q:その「香盤表」に関して、なかなかご存知ない方も多いと思うので、どんなものか教えていただけますか?


藤井:撮影は香盤表がすべて。というぐらい大事なもので、基本的にはチーフ助監督が作ります。その中には、演出部、撮影部、美術部、などなど、各部署の全ての思惑が入っていますね。


例えば、家のシーンだったら、つばめの冒頭のシーンが撮れるけれど、効率を考えて、他のシーンもまとめて撮るとします。でも(上野)千蔵さんからすると、いやこの時間は日光の関係からここのシーンを撮りたいとか、各部署でいろんな意見が出てくるんです。そういったみんなの意見を結集させたものが香盤表です。そこに食事の時間を入れたり、移動時間を計算したり、衣装替え、ヘアメイクのチェンジなど、すべての情報が集約されています。




しかも主演の清原果耶さんは未成年のため、22時までしか撮影ができない。かなり大変な状況なんですが、僕の「相棒」と呼んでいる逢坂元というチーフ助監督が、その辺りの調整がめちゃくちゃうまくて、助けられました。


Q:現場でアクシデントが起こって、その通りにいかないときもありますよね。


藤井:実は現場で「用意、スタート」ってカチンコを打ったり、エキストラをさばいたりするのはセカンド助監督が行っていて、チーフ助監督は現場で香盤表を必死に直していることが多いです。


また、僕が千蔵さんを信頼してる部分の一つが、「日周り」と言って「何時にはここに光があるから、こういうタイミングで撮りたい」という、画に対しての明確なディレクションがあるところ。そういう要望も、チーフ助監督が巻き取って香盤表を直していきます。


上野:いやもう尊敬ですよ……。スケジュールを組んでくれたものに対して、「ここはやっぱりいい光で撮りたいから朝にしたいです」って言ったら、「ここだったら変えられそうかな」ってその場で調整してくれる。普通は、他部署との調整が破綻するから、途中から変更するのは無理なことが多いんです。相当細かい部分まで頭に入っていないと、できない芸当ですよね。


映画って、効率だけを考えたらうまくいかない部分もあるんですよ。家のシーンは全部まとめて撮ったら楽だけど、クライマックスのこのシーンは、役者さんの気持ちを考えると、クランクインしてからすぐは撮れないから、ずらしてほしいとかね。そういった各部署の要望をきれいにまとめて、且つ清原さんのシーンは22時までにきっちりと終わらせる。1回も22時を越えたことはなかったよね。


藤井:1分前ってのはありましたけどね(笑)。



PAGES

この記事をシェア

公式SNSをフォロー

counter
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. CINEMORE ACADEMY
  3. 【CINEMORE ACADEMY Vol.4】撮影編 映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』の作り方