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『オフィシャル・シークレット』ギャヴィン・フッド監督 真実から逸脱せず、ドラマチックに成立させるよう心がけたよ【Director’s Interview Vol.72】

Photo by: Nick Wall © Official Secrets Holdings, LLC

『オフィシャル・シークレット』ギャヴィン・フッド監督 真実から逸脱せず、ドラマチックに成立させるよう心がけたよ【Director’s Interview Vol.72】

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実在の人物を体現した俳優陣



Q:本作には豪華なキャストが集結しました。俳優陣の演技はいかがでしたか?


ギャヴィン:強烈な個性のベン・エマーソン、信頼がおけて、知的で、思いやりがあり、強い意志をもつマーティン・ブライトのような記者、あるいは気骨に満ち、勇気にあふれ、誠実なキャサリン・ガン。彼らのように、賢くユニークな実在のキャラクターを扱う場合、彼らのクオリティを体現できる俳優を見つける必要がある。こういう作品は、観客をひきつける役者が必要なんだ。でも今回の配役に関しては、幸運に恵まれたよ。


まずキーラ・ナイトレイが決まってよかった。繊細で意志の強い女性を完璧に演じてくれたね。自由を代償に権力に歯向かう、キャサリンの複雑な心情をうまく表現していた。マット・スミスの出演もよかった。若手記者がメールを入手する人生最大のスクープ。彼はそのメールがロシアの陰謀ではないかと疑うんだ。


そして幸運なことに、レイフ・ファインズの出演も決まった。パワフルな演技をする彼が、カリスマ性のある弁護士エマーソンを演じてくれた。この役にはレイフのような人がどうしてもほしかった。質を落とさずに第3幕にバトンタッチするために、大きな存在感が必要だったんだ。


マット・スミスが1幕から2幕にかけて非常に高レベルの演技を提供するから、映画の最後も同じでなくてはならない。3幕目で彼よりも低いレベルの俳優に手渡すことはできなかった。さらにリス・エヴァンスが加わり、情熱的なジャーナリスト、エド・ブリアミーを演じた。本当に幸運だったと思うよ。




Q:舞台となる時代は15年以上も前の2003年です。


ギャヴィン:2003年は最近のことだと安心してた。でも時代は大きく変化してたね。15年も前の話だから、十分時代映画と言えるよ。コンピューターは遅いし、当時はまだフロッピーディスクを使ってたしね。車も現代のものとは全然違う。わずか15年だが完全に前の時代だよ。


プロダクションデザインはサイモン・ロジャースが担当してくれた。時代の変化を実感できて面白かったよ。この事件は、今の時代ならネットやSNSで大騒ぎになるだろう。でも2003年はそれより前の時代だ。まだパソコンを持ってない人もいたんだよ。


Q:最後に、観客へのメッセージをお願いします。


ギャヴィン:映画を見て、いろいろ感じて考えてほしい。自分ならキャサリンと同じことをするのかどうか。彼女を批判する人もいるかもね。彼女は裏切り者か、愛国者か。作品は答えを提供しない。見て感じて 鑑賞後にみんなで語り合ってほしいね。




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監督:ギャヴィン・フッド

アカデミー賞®最優秀外国語映画賞を受賞した南アフリカ映画『ツォツィ』(05)の傑出した脚本家・監督としてアメリカ映画界に初めて紹介された。監督になる以前は、ヨハネスブルグにあるヴィットウォーターズラント大学で経済と法律の学位を取って卒業した。法律事務所でしばらく働いたのち、ヨハネスブルクで俳優として数年間仕事をし、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で脚本と演出法を学ぶためにロサンゼルスに移り住んだ。勉学を終えたのち、南アフリカに戻り、保健省が作る教育ドラマの脚本と監督を担当。これをきっかけに、HIV/エイズの流行に強い衝撃を受けた。教育TVを通じてHIV/エイズについての意識と理解を高める努力を称えられ、南アフリカのエミー賞といわれるアルテス賞を受賞した。初めての低予算映画『A REASONABLE MAN』(99・未)は、儀式的殺人という実話に触発されたものであり、宗教的信念は犯罪に対する防御になり得るのかどうかを検証する目的で、法律学校で学んだいくつもの裁判所の事例に基づいて作られた。力強いこの作品によって、2000年の「バラエティ」誌で“注目すべき10人の監督たち”のひとりに選ばれた。


『国家誘拐』(07・未)では、囚人への人道的な扱いが厳格でない外国にテロの容疑者たちを密かに送り、尋問させようとするアメリカのやり方にフォーカスを当てている。監督作は、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(09/出演:ヒュー・ジャックマン)、『エンダーのゲーム』(13/出演:エイサ・バターフィールド、ハリソン・フォード、ベン・キングズレー)へと続く。現代のドローン戦争の世界を舞台にしたドラマチック・サスペンス『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』(15/出演:ヘレン・ミレン、アーロン・ポール、バーカッド・アブディ、アラン・リックマン)は、2015年9月、トロント国際映画祭でプレミア上映された。2016年3月にはアメリカで公開され、高評価を得て、無人航空機、あるいはドローンの使用によって持ち上がる道徳的、倫理的問題について、公の議論を巻き起こした。2016年10月、この作品によって、ニューヨークで開かれたヒューマン・ライツ・ファーストの年1回の夕食会において、エンターテイメントの有意性を称えられ、2016年度のシドニー・ルメット賞を授与された。



構成:CINEMORE編集部




『オフィシャル・シークレット』

8月28日(金)、TOHO シネマズ シャンテほか全国ロードショー

配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES

公式サイト:http://officialsecret-movie.com/

Photo by: Nick Wall © Official Secrets Holdings, LLC

(c)2018 OFFICIAL SECRETS HOLDINGS, LLC. ALLRIGHTS RESERVED.

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