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『AWAKE』映画好きだけに映画を作っていたら、日本映画は終わる。若葉竜也が考える、コロナ禍のエンタメ論【Actor's Interview Vol.10】

『AWAKE』映画好きだけに映画を作っていたら、日本映画は終わる。若葉竜也が考える、コロナ禍のエンタメ論【Actor's Interview Vol.10】

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キャラクターではなく、「人間」として演じたいと提言



Q:ご友人のご協力も得て役を作っていく過程で、今回演じられた浅川陸をどういう人間だととらえていきましたか?


若葉:脚本の段階では、監督もプロデューサーも「陰と陽」とおっしゃっていて、吉沢亮くんが演じた清田英一が陰、僕が演じた浅川陸が陽というお話でした。英一はすごく歪んでいて、どろどろしたマグマみたいなものを持っている一方で、陸自体は明るくて陽気、という設定だったんです。だけど、それをキャラクター化してしまったら全然面白くない気がして……。


やっぱり陸には陸の葛藤があるし、あくまで「人間」じゃないですか。別に殺人鬼を演じる時も人間という根本は変わらないですし、監督やプロデューサーのお話を「なるほど」と聞いていながらも、テストで「でも陸ってこうなんじゃないか」というのを試して、それをみんなが咀嚼してくれた感じがあります。



©2019『AWAKE』フィルムパートナーズ


Q:若葉さんご自身が、自ら提案して変えていったんですね。


若葉:役をキャラクターじゃなくして、ひとりの人間として成立させることに重きを置きましたね。陸のような人間を単色化してしまうことは、すごく簡単なんです。「陸はこんなことやらない」とか、「陸はこうだからこうなんだ」「陸はこういうキャラクターだ」と言ってしまえば、演じるのは容易かもしれない。でも僕は、やっぱり人間として多面的に演じたかった。


僕自身もそうですが、今はカッコいい衣装を着せてもらって、俳優の仮面をかぶって格好つけてしゃべっているけど、家に帰ったときは全く違いますしね。「洗濯しなくちゃ」とか「間違っていいセーター洗っちゃったな」とか、「『赤いきつね』と『緑のたぬき』、どっち買おうかな」とか悩んだり……。人間ってそんなもんだし、ちょっとズルい部分もあるもの。多分みんながそうだと僕は思っていて、それを限定してしまうと、可能性が下がってしまう。


「陸はこれはやらない」とジャッジした時点で、一つの作品としての可能性を1個断ち切ることになるんです。どこまで「キャラクターが破綻してる」と言われずに構築できるかを、今回やってみたかったところはありますね。みんなが思っている陰と陽じゃなくて、あくまで人間の匂いがあるものにしたかったんです。




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