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『AWAKE』映画好きだけに映画を作っていたら、日本映画は終わる。若葉竜也が考える、コロナ禍のエンタメ論【Actor's Interview Vol.10】

『AWAKE』映画好きだけに映画を作っていたら、日本映画は終わる。若葉竜也が考える、コロナ禍のエンタメ論【Actor's Interview Vol.10】

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コロナ禍で考えた、エンターテインメントの必要性



Q:出来上がった作品をご覧になって、どのような感想を持ちましたか?


若葉:すごく見やすいなと思いました。「わかる奴だけわかればいい」という無骨な作り方は嫌いではないけど、それだけでは日本映画は終わってしまうと思うんです。


『AWAKE』からは、普段映画をほとんど観ないような人たちも楽しめるようにしたい、という想いが伝わってきたし、それは僕も常日頃から考えていることです。若くしてこういった映画を撮ることができる山田監督の長編デビュー作に参加できたことは、うれしいですね。


Q:山田監督に対して、「他の監督とここは違うな」と感じた部分はありますか?


若葉:卑屈(笑)。どちらかというと、英一側の人なんだろうな、だからこそすごく思い入れがあったんじゃないかな、というのが僕の印象です。卑屈でちょっとゆがんでいる監督(笑)が撮るエンタメが、一般の人たちの目にどう映るのかは楽しみではありますね。



©2019『AWAKE』フィルムパートナーズ


Q:エンタメの話にも通じるかと思いますが、先ほど話されていた「日本映画が終わってしまう」という部分、もう少しお聞きしたいです。


若葉:大きいのは、コロナ禍になって、映画の見方や在り方が激変したことですね。


今までは生活の中に余裕があって、「余裕があるから娯楽を楽しもう」だったかと思うのですが、世界中がこういった状態になった今、心の余裕を作るための娯楽を作らなければならない。映画館に行って映画を観ることで少しでも救われてほしいし、そういったエンタメの作り方をしないといけないと考えるようになりました。


映画好きだけに向けて映画を作っていたら、日本映画は終わると思います。大衆に迎合すると言う安易な意味ではなく、自分自身も「娯楽」の根本に立ち返らなければならない気がしていて。映画好きはもちろん普段そんなに映画を観ない人たちも映画館に行って心が動く経験をしてもらいたいし、させたい。そういう想いで、切実に映画を作っていきたいです。


僕自身、十代の時、精神的にいっぱいいっぱいだった時期に『アイデン&ティティ』を観てすごく心が動いて、帰り道の景色がいつもと違った、という経験をしました。だからこそ、映画館ってこういう体験ができる場所なんだ、ということを知ってほしい。


今の時代、娯楽はたくさんありますから、テレビやサブスク、或いはドラマを観るのも良いけど、まずは一度映画館で経験してもらいたいんです。


その結果「救われた」という人たちが増えたら、絶対に日本映画の底上げにもなるし、国内における娯楽、エンターテインメントというものが変わっていく気がするんですよね。



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若葉竜也

1989年6月10日生まれ、東京都出身。 作品によって違った表情を見せる幅広い演技力で数多くの作品に出演し、16年、『葛城事件』で第8回TAMA映画賞 最優秀新進男優賞を受賞。 主な出演作に、『葛城事件』(16)、『美しい星』『南瓜とマヨネーズ』(17)、『パンク侍、斬られて候』『サラバ静寂』『素敵なダイナマイトスキャンダル』(18)、『台風家族』『愛がなんだ』(19)、『ワンダーウォール 劇場版』『朝が来る』『生きちゃった』『罪の声』(20)など多数。公開待機作に、映画『あの頃。』(2月19日(金)公開)、初主演『街の上で』(4月9日(金)公開)、『くれなずめ』(GW公開)など多数。



取材・文: SYO

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライター/編集者に。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」 「シネマカフェ」 「装苑」「FRIDAYデジタル」「CREA」「BRUTUS」等に寄稿。Twitter「syocinema





『AWAKE』

2020年12月25日(金)より新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

配給:キノフィルムズ

©2019『AWAKE』フィルムパートナーズ

出演:吉沢亮 若葉竜也/落合モトキ 寛一郎

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