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『ザ・スイッチ』クリストファー・ランドン監督 みにくいアヒルの子は美しい白鳥になる。でも、この映画のみにくいアヒルの子はモンスターになる!【Director’s Interview Vol.115】

© 2020 UNIVERSAL STUDIOS

『ザ・スイッチ』クリストファー・ランドン監督 みにくいアヒルの子は美しい白鳥になる。でも、この映画のみにくいアヒルの子はモンスターになる!【Director’s Interview Vol.115】

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怖くて、ドキドキできて、それでいて笑えて泣ける傑作『ハッピー・デス・デイ』(17-19)シリーズに続き、クリストファー・ランドン監督が、またも型破りなエンタテインメントを届けてくれた。待望の新作『ザ・スイッチ』は、前作同様ホラーとコメディ、さらには感動が一体化。巷を騒がせる残忍なシリアルキラー、ブッチャーが振るった古代アステカの呪いの短剣によって、女子高校生ミリーは殺されたはずだった。ところが目覚めると、彼女のココロはブッチャーのカラダに宿り、逆にブッチャーのココロはミリーのカラダに転移していた。かよわい女子高校生の姿なら、誰にも気づかれずに殺人を犯せると考えたブッチャー。そんな彼を阻止しようと、ミリーは奔走を繰り広げ……。


惨殺描写は鮮烈だが、やり過ぎてブラックユーモアがにじみ出たり、少女のココロを宿したシリアルキラーにふんする怪優ヴィンス・ヴォーンがゴツい体の女子演技で笑いを取ったり、父親を亡くした悲しみから抜け出せないミリーの胸中が涙を誘ったり。とにかく、この一本の映画には数本分の笑いの要素が詰まっている。この快作がどのようにして生まれたのか?ランドン監督がリモート取材で語ってくれた。


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アステカの短剣は、極めて重要な“キャラクター”



Q:シリアルキラーと女子高校生の心と体が入れ替わるというアイデアは、どこから来たのですか?


ランドン:脚本家のマイケル・ケネディとの話から、このアイデアが生まれたんだ。ボディスワップ物とスラッシャーホラーを一緒にしたら、面白いんじゃないか?といった具合にね。


Q:惨殺シーンがリアルに撮られていますが、作り手としてゾっとすることはありましたか?


ランドン:残酷なシーンをリアルに撮るには、どうしても技術的に高度なものが求められるので、怖さを感じている余裕はなかったなあ。役者のリアクションや出血のタイミングなど、とにかく細心の注意が必要になる。終わった後も、現場の掃除が大変だったからね。怖かったというよりも、むしろそれを楽しんでやれたのは幸運だったよ。



『ザ・スイッチ』© 2020 UNIVERSAL STUDIOS


Q:ヴィンス・ヴォーンの殺人鬼&女子高校生役は素晴らしかったですね。今となってはコメディ俳優として有名ですが、キャリアの初期には『ムーンライト・ドライブ』(98)や『サイコ』(98)などでシリアルキラーを演じていたこともありました。接してみて、どんなところに彼の強みを感じましたか?


ランドン:ヴィンスは、見かけは大柄で屈強で、怖そうだけれど、同時に面白くてチャーミングで、誰からも好かれる人だよ。そういうことをすべて表現できるのが彼の武器だね。今回の映画にはピッタリだった。ヴィンスとは「ミリーって、どんな娘なんだろう?」ということを散々話し合ったよ。というのも、単なるミリーの真似ではなく、内面的に完璧な女の子になって欲しかったんだ。


Q:アステカの短剣が重要なアイテムとなりますが、古代文明のリサーチもされたのですか?


ランドン:アステカ文明のいけにえの文化については綿密に調べたよ。劇中のあの短剣は、ひとつのキャラクターとして受け止めて欲しいと思った。ミステリアスで危険で、とても力強い存在として機能して欲しかったんだ。なので、アステカのいけにえの儀式で、短剣がどのように使われていたのかを徹底的にリサーチした。


Q:本作を撮るうえで、参考にした映画はありますか?


ランドン:たくさんの映画からの影響を受けているよ! ボディスワップ物では『フォーチュン・クッキー』(03)だね。ホラーでは『13日の金曜日』(80)や『ハロウィン』(78)『エルム街の悪夢』(84)等だ。それと『ヘザース/ベロニカの熱い日』(89)のような青春シニカルコメディも参考にしたよ。




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