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『ザ・セル』は解剖台の上でミシンとこうもり傘が偶然出会ったように美しいか?

(c)Photofest / Getty Images

『ザ・セル』は解剖台の上でミシンとこうもり傘が偶然出会ったように美しいか?

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『ザ・セル』あらすじ

心理学者であるキャサリンは、人間の潜在意識や夢の中に入り込む技術の研究をしていた。そんな彼女のもとに、昏睡状態の連続殺人犯、カール・スターガーの意識に入って欲しいという依頼が舞い込む。スターガーは女性を拉致監禁して、時間が経つと自動的に溺死させる装置に閉じ込めているというのだ。女性を救うため、スターガーの意識から監禁場所を突き止めて欲しいとのことだったが…。



 日本では学校の授業に「美術」があるが、なまじ「美」の文字があるために「美しさ」の学問だと勘違いしている人は多いだろう。


 英語圏では同じ授業を「art:アート」と呼び、表現「手法」の意味が強い。「アート」は、美しさも内包しているが、決してそれだけでは無い。政治的な主張はもちろん、グロテスクさや死を表現するのも「アート」である。


Index


『ザ・セル』の超現実世界



 他人の意識の中に入れる特殊な装置を使い、トラウマを負った子供のセラピーを行うキャサリンの前に、刑事のピーターが現れる。女性ばかりを狙った連続殺人犯カール・スターガーを捕らえたはいいが見つけた時には昏睡状態で、生きてはいるものの意識が無いまま。しかも、スターガーは倒れる直前に女性を誘拐し、ゆっくりと溺死させる隔離装置に監禁をしているらしいのだが、その場所が解らない。そこで、スターガーの意識の中に入り、監禁場所を聞き出して欲しいと言うのだ。


『ザ・セル』予告


 女性を助けるためにスターガーの意識に入るキャサリンだが、深く捻れたスターガーの意識の世界は想像を絶する奇妙な場所だった。


 『ザ・セル』は意識の中の世界を表現するために、多くのアート作品からの引用や模倣が行われている。そのことでサイコキラー映画ではあるものの、非常にファンタジックなヴィジュアル・イメージに溢れている。それら『ザ・セル』に引用されたアート作品に焦点を合わせ、表象される情景を詳らかにしていく。



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