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『街の上で』今泉力哉監督 映画の完成形は頭の中に全くないんです【Director’s Interview Vol.116】

©「街の上で」フィルムパートナーズ

『街の上で』今泉力哉監督 映画の完成形は頭の中に全くないんです【Director’s Interview Vol.116】

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キラキラ映画オファーの葛藤



Q:今後のオファーがたくさん来ていて、今は色々と取捨選択しなければならない状況かと思います。どのような基準で企画を選ばれているのでしょうか。


今泉:やっぱり信じていることがあまりに違い過ぎるものは、まだやれる余裕がないですね。例えば、ものすごい感動作とか、キラキラ映画と言われる高校生の恋愛モノで、相手を好きな気持ちに疑いがない両思いの話とか、そういうのは、自分が今までやってきたこととも矛盾するし、自分の考えや信念とも矛盾するので、それを今俺がやるのは難しいですかね。


もちろん声をかけてもらったのはすごく嬉しくて、現存するキラキラ映画よりも面白くできる気もして、断るかどうかの葛藤はめちゃくちゃありました。でも、自分より面白くできる監督がいそうだなと思ったので、今回は断りました。


Q: まだまだ色々聞きたいですが、そろそろお時間になってしまいました。これで最後です。シンプルな質問ですが、今泉監督が好きな映画や監督を教えてください。


今泉:出会って一番衝撃的だったのは、やっぱり山下敦弘監督の作品です。『リアリズムの宿』(04)を初めて観た時に、自分がやりたかった空気感とか温度みたいなものがすでにそこにあって、「あ、もうあるんだ」ってびっくりするくらい衝撃を受けましたね。山下さんがやってる俳優ワークショップの手伝いをしていたので、そこでいろんなことを学んだのも大きかったです。


少し前に映画のトークイベントがあって、その時久しぶりに劇場で『リアリズムの宿』を観たのですが、呼吸ができないぐらい感動してしまって…、トークの前に外で深呼吸しました(笑)。やっぱり化け物映画なんだなと思いましたよ。今だから気付くこともたくさんあって。あぁ、これがやりたいんだな、こういう映画を作れるようになりたいって、立ち返ることもできました。しかも『リアリズムの宿』って90分くらいの映画なんですよ。だから俺も次は90分の映画を作りたいですね(笑)。



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監督:今泉力哉

1981年2月1日生まれ、福島県郡山市出身。代表作に『たまの映画』『サッドティー』『退屈な日々にさようならを』など。『こっぴどい猫』でトランシルヴァニア国際映画祭最優秀監督賞受賞。「午前3時の無法地帯」「東京センチメンタル」などのドラマ、乃木坂46のシングルCD特典映像『水色の花』(齋藤飛鳥)『早春の発熱』(衛藤美彩、桜井玲香)なども手がける。2019年に映画『愛がなんだ』『アイネクライネナハトムジーク』が公開、今年1月より『mellow』(主演:田中圭)『his』(主演:宮沢氷魚)が公開中。金曜ナイトドラマ「時効警察はじめました」やWOWOW「有村架純の撮休」にも演出として参加するなど精力的に活動している。2021年2月には『あの頃。』(主演:松坂桃李、脚本:冨永昌敬、原作:劔樹人)が公開。



取材・文: 香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。




『街の上で』

新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋⾕ほか 4 ⽉ 9 ⽇(⾦)より全国順次公開 

配給:「街の上で」フィルムパートナーズ 

配給協⼒:SPOTTED PRODUCTIONS

©「街の上で」フィルムパートナーズ 

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