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『100日間生きたワニ』上田慎一郎監督&ふくだみゆき監督がアニメに持ち込んだ「異例」と「異物」【Director’s Interview Vol.126】
大御所アニメーターとの仕事、コロナ禍での制作の難しさ
Q:驚いたのは、70年代のアニメ「宇宙戦艦ヤマト」などを手掛けてきた超ベテランアニメーター、湖川友謙さんがコンテ・アニメーションディレクターを務めていることです。すごい組み合わせですね。
上田:ある意味……大変でした(笑)。
ふくだ:(爆笑)。
上田:年齢も倍以上違いますし、価値観も異なりますからね。ただ僕ら自身、それを求めて飛び込んでいったところがあります。自分たちと全く違うものを持っている方と組んだときの化学反応が、面白さにつながっていくと思っているので。
湖川さんは、こちらが作りたいものを伝えると、上がってくる絵コンテの中にちょっと違うものを混ぜてくるんですよ。それを見て「これってどういうことですかね……」と聞くと、「俺はここはこうあるべきだと思う」という答えが返ってきて。いくつかは戻して、修正いただいたりもしたのですが、その中のいくつかは「俺らが思っているものよりもいいかもしれない」と感じて、採用させていただいたり。そういったことの繰り返しでした。
ふくだ:湖川さんご自身も、これは私たちの好みじゃないってわかったうえで、あえて入れてきてくれていたんだと思います。それで私たちも頭を抱えるけど(笑)、それで刺激を受けて、新しいアイデアが生まれるところがありましたね。
Q:おふたりにとっては、そうしたある種の“試練”も歓迎モードだったわけですね。
上田:はい。カエルのお話に通じますが、自分たちにとっての“異物”を避けすぎるといつまで経っても変われないんですよね。
Q:上田さんとふくださんの間ではいかがですか? 共闘しているイメージがあるので、あまり意見の相違はなかったのかなと思ったのですが……。
上田:そうですね、全然なかったです。
ふくだ:ビジョンが一緒なのもあるし、10年間ずっと一緒に走ってきたのもあるので、お互いの得意・不得意がわかっているんですよね。ここは引こう・ここは行こうの塩梅も自然とできていますし。
上田:意見がぶつかるところがあるとすれば、クリエイティブの部分というよりも、「どこまで粘るか」といったようなところかもしれないですね。進行が本当にギリギリだったので……(笑)。
ふくだ:(笑)。上田さんは、スケジュールが迫っている中でも自分の意見をはっきり言えるところが、私より芯が強いなと思います。それに助けられた部分はすごくありますね。
今回はコロナ禍での制作で、手を動かしてくださる方とお会いせずにリモートで指示を出す状況だったのですが、実写だと顔を合わせないで進むことはなかなかないじゃないですか。だから細かいニュアンスが伝わるかどうかが本当にわからなくて、「あれ、言ったじゃん……」みたいになったり、向こうの士気が下がってしまったり、そういうことが起こるんじゃないかと。そうやって私が気にするタイプだったことに今回気づいて…。
そうなると「粘りたいけど……」と躊躇してしまうんですが、そういうときに上田さんが「いや、いこう」と言ってくれたんです。
上田:いや、でも現場よりは難しかったです。現場だったら直接顔を見て話せるけど、今回はそうはいかない。
ふくだ:メールの文面だけだと、読み手にこちらの意思が100%伝わるかがわからないし、間に何人か挟むとまたわからなくなってしまったりするので、難しさは常に感じていましたね。