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「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」オダギリジョー監督 脚本と編集の魅力、辛い現場、賛否分かれるものづくり【Director’s Interview Vol.142】

「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」オダギリジョー監督 脚本と編集の魅力、辛い現場、賛否分かれるものづくり【Director’s Interview Vol.142】

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オダギリジョーが脚本・演出・編集・出演をこなしたドラマ「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」。それは圧倒的にエンターテインメントで、とんでもなく面白く仕上がっていた。オダギリの映画監督作『ある船頭の話』(19)を観たことがある方は、その振り幅の大きさに驚くのではないだろうか。


映画とテレビドラマの違いを見極め、計算し尽くされたその「見せ方」は、もはや新人監督の域を遥かに超えていた。本人や周囲が想像する以上に、オダギリは既に“監督”であり、演出という行為の本質を、もはやその手中に収めているのかもしれない。今回話を伺ったその言葉の端々からは、その片鱗を感じた気がしてならない。


オダギリジョーは、いかにして「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」を作り上げたのか?


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魅力を感じる、脚本の“自由さ”



Q:今回のドラマは、どういった経緯で監督(演出)のお話が来たのでしょうか。

 

オダギリ:このドラマは「時効警察はじめました」と同じプロデューサーでして、その撮影中「何か面白いもの作りたいですね」と話していました。ちょうどその頃、自分が初めて作った映画『ある船頭の話』が公開されていたのですが、せっかくならそれとは全く違うベクトルで新しい何かを作りたいなと考え始めました。


僕は今まで映画にこだわってきましたが、テレビ離れが進む今の時代だからこそ、敢えて連続ドラマに挑戦してみたい気持ちもあったので、温めていた企画の中からドラマになりやすいものを持って行ったんです。それが最初のきっかけですね。


Q:“警察犬”というアイデアはどこから出て来たのですか。


オダギリ:警察モノのドラマって毎クールたくさんありますが、今までとは違う個性を作り上げるには、何か別のスパイスが必要だと思いました。それで警察犬を交えてみるのはどうかなと考えたんです。動物の視点を入れることで、客観的な人間の業を描けると思いました。


『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』Copyright NHK (Japan Broadcasting Corporation). All rights reserved.


Q:脚本もオダギリさんが書かれていますが、登場人物がかなり多くてサスペンスの要素もあります。まとめるのは大変だったのではないでしょうか? 


オダギリ:もちろん産みの苦しさはありますが、脚本を書くことは好きなんですよ。書く時の“自由さ“に魅力を感じています。だって、文章って限りなく自由じゃないですか。表現としての魅力が大きいですよね。読む人の想像力に助けてもらう前提がありますしね。


脚本でやりたいことはたくさんあって、それをまとめるのは確かに難しいですが、脚本は時間を掛けられますし、最初に設計図さえしっかり作っておけば、あとは好きなことを書くだけですね。


Q:脚本はどれくらいの期間で仕上げたのですか? 


オダギリ:3話全て合わせると丸1年ほどかかりました。1話目は勢いで書いたのですが、2話目に入る頃にコロナ禍となり、気持ちがそっちに向かなくなってしまったんです。俳優の仕事もあって、そこからなかなか書けなかったのですが、それでも少しずつ書き進めていって気づけば1年経った感じでした。


Q:オリバーが発する下品な発言に、都度苦言を呈する一平(池松壮亮)のやりとりが面白かったです。まるで一平がNHKの代弁者であるかのようでしたが、その辺はセリフを作る段階で意識されたのでしょうか。 


オダギリ:そうですね(笑)。NHKの方から「もう少しソフトな表現にして欲しい」というリクエストが実際にあって、それをそのままセリフにしているシーンもあります。だから本当に代弁者になってますね(笑)。ただ、二人の掛け合いがこのドラマの面白さの根底にあるので、そのやりとりは大事にしなければと思っていました。





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