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『殺人鬼から逃げる夜』クォン・オスン監督 映画の魅力にハマったのはジェームズ・キャメロンとリドリー・スコット【Director’s Interview Vol.143】
映画のスピードを最大限生かす編集
Q:映画のほとんどが一夜の出来事として展開されます。余分な要素を削ぎ落として、一夜に限定した理由を教えてください。
クォン:観客にどんな形式で物語を伝えたらよいか、その方法については悩みましたね。そんな時、朝配達された新聞を広げてみると、“昨夜、こんなに恐ろしい事件があったのか?” と感じることがありました。そこで、私たちの知らない前夜の恐ろしい出来事が、朝刊を通して要約されて伝えられるように、本作も劇中の一夜の恐ろしい事件を生々しく伝えようという目標を立て、脚本を書き進めたんです。
『殺人鬼から逃げる夜』©2021 peppermint&company & CJ ENM All Rights Reserved.
Q:犯人の「執拗さ」は、一歩間違えると映画的に「しつこく」なってしまいますが、絶妙なバランスで成立していたと思います。 104分というタイトな時間設計もうまく機能していたかと思いますが、そのへんは苦心されたのではないでしょうか。
クォン:最初の編集版はランニングタイムがより長く、より多くの情報が入っており、発生した状況に対する理解や行動の理由がより明確でした。しかし時間が長いと、映画としての展開のスピードがルーズになるという副作用があるため、いろいろと悩んだ末、映画のスピードを最大限生かす方向で編集を進めることになりました。
映画のスピードを生かしつつも観客が疑いなく映画の流れについて来るためには、どこまで見せて、どこまで見せないようにするか、苦心に苦心を重ねて最終版を完成させました。観客によってその判断が異なるため、落とし所を見つけるのはとても難しかったです。