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『かそけきサンカヨウ』今泉力哉監督 脚本が全てではなく現場で起こることを優先する【Director’s Interview Vol.150】

『かそけきサンカヨウ』今泉力哉監督 脚本が全てではなく現場で起こることを優先する【Director’s Interview Vol.150】

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テクニカルに上手い役者には惹かれない



Q:今回の作品は、俳優のマネージメント事務所・テンカラットの設立25周年記念作品でもあります。 


今泉:そうですね。先ほどお話しした通り、今回は短編からの映画化ということで地味で小さな話になりがちなので、キャスティングはかなり重要だと思っていました。それで最初に決まったのが、テンカラット所属の志田彩良さんと井浦新さんのお二人だったんです。テンカラットさんとは、『パンとバスと2度目のハツコイ』(18)の深川麻衣さんや『mellow』(20)の志田さんなど、これまで結構ご縁がありまして、社長さんも自分の映画を気に入ってくださっていたこともあり、今回ご一緒していただくことになりました。


『かそけきサンカヨウ』© 2020 映画「かそけきサンカヨウ」製作委員会


Q:思春期の高校生を演じた、志田さんと鈴鹿央士さん、中井友望さんたちが素晴らしかったです。みなさん、感情の揺れ幅はすごいはずなのに、それをあまり表には出さずに表現している。その辺はどのように話されたのでしょうか。


今泉:志田さんに関しては「演出したっけ?」というくらいお任せしていた気がします。あんまり覚えていないというと志田さんに怒られそうですが(笑)、それくらい安心して見ていられましたね。


鈴鹿さんはちょっと面白くて、ある種の幼さがあるんです。役者としての期間が短くて場数も多くないためだと思いますが、実際、すごく集中している時と気が抜けてる時があって、「ほら、集中、集中!」みたいな時があるんですけど(笑)。でも逆に言うと、テクニカルにするということが全くないんです。例えば、西田尚美さん演じる母親と親子で話している時に、鈴鹿さんがちょっと涙目になっていたりするのですが、それは完全に西田さんの芝居を受けて心が動いているからできる表情で。すごく素直でいいなと思いました。


鈴鹿さんはテクニカルに上手い俳優ではないのですが、それはすごくいいことなんです。自分は、上手い人にはそんなに惹かれないんですよね。本当に上手な人って、上手さよりも人間味の方が前に出てくる。上手いって思われるのは、役者さんにとって良し悪しなんじゃないかな。もちろん、上手い人を求める監督はいると思いますが、自分はそっちではないですね。そういう意味では、中井さんも然りで、鈴鹿さんや中井さんのフレッシュさは、この映画にすごくプラスになっていると思います。




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