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『アンテベラム』ジェラルド・ブッシュ&クリストファー・レンツ監督 名作映画のレンズを使って真実の歴史を描く【Director’s Interview Vol.160】

©2020 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

『アンテベラム』ジェラルド・ブッシュ&クリストファー・レンツ監督 名作映画のレンズを使って真実の歴史を描く【Director’s Interview Vol.160】

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『風と共に去りぬ』の「恐ろしさ」を表現



Q:映画の冒頭、農園の様子を4分ほどの長回しで見せるショットがありますが、観客を19世紀のアメリカに誘う見事なショットでした。あの長回しはタイミングなど、とても苦労されたのではありませんか?


ブッシュ:とても簡単でしたよ・・・いや嘘です!(笑)。本当にとても複雑な撮影でした。製作準備の段階から緻密なスタンバイが必要でした。特に夕暮れのシーンなので、NGが出てもう一度撮ろうとしても、すぐに日が沈んでしまいます。1日に何回もやり直しができないんです。だから4日間かけて、やっとOKカットが撮れた時は本当に嬉しかったです。特にステディカムのオペレーターが頑張ってくれましたね。


Q:南北戦争当時の恐ろしい人種差別の実態と、周りの自然の美しさの対比がとても印象的です。映像表現のために『風と共に去りぬ』(39)を参考にしたそうですね。


ブッシュ:私は『風と共に去りぬ』(39)は映画史に残る壮大な叙事詩であると同時に、ホラー映画だと思っているんです。黒人の奴隷達は幸せに農園で過ごしていたかのように描かれていますが、その嘘は本当に恐ろしいことだと思います。特に恐ろしいのは映像的に非常に「美しく」描かれている点です。自然の美しさとホラーともいえるような状況が、全く同時に同じ空間に共存している、その対比に私もクリストファーも非常に驚きました。その対比を、この作品で現代に再現したいと思ったんです。だから、実際に『風と共に去りぬ』の撮影で使われたレンズを使用しました。



『アンテベラム』©2020 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.


そのレンズを使ったことには2つの意味があります。当時のテクニカラーを再現したようなルックで、アメリカの伝統的な奴隷制農場を余すところなく撮影するという技術的な意味。もう一つは、同じレンズを使うことで、『風と共に去りぬ』というプロパガンダ映画を修正すること。つまり捻じ曲げられた歴史を元に戻すために『アンテベラム』を作るんだ、という意思表示のためでした。





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