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『ほんとうのピノッキオ』マッテオ・ガローネ監督 100年以上前の物語でも失わない現代性【Director’s Interview Vol.161】
子供の頃に読んでいた児童文学。その挿絵をそのまま映画にしたような『ほんとうのピノッキオ』は、どこか懐かしい雰囲気を纏ったダーク・ファンタジーに仕上がっていた。CGで仕上げたファンタジー映画が全盛の中、あえて特殊メイクや実写にこだわったそのビジュアルは、80年代のファンタジー映画をそのままアップデートさせたような、唯一無二の世界観を築き上げている。
本作を手掛けたのは、カンヌ国際映画祭で二度もグランプリを獲得している名匠マッテオ・ガローネ監督。リアルな犯罪サスペンスからファンタジーまで幅広く手がけてきたガローネ監督は、今なぜこの童話を映画化したのか?話を伺った。
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自分自身を驚かせる世界観を作りたい
Q:子供の頃に読んでいた児童文学の挿絵のような、そんなビジュアルに引き込まれました。今回の世界観にはどのような意図を込めたのでしょうか。
ガローネ:この映画をつくるにあたり、絵画に関するリサーチはかなり行いました。私はもともと画家だったこともあり、絵の世界へのこだわりは強いんです。自分が好きなゴヤやカラヴァッジオをはじめ、「ピノッキオの冒険」の作者コッローディの世界観に近い、トスカーナのマッキアイオーリ派という絵画派からインスピレーションを受けています。
今回は新たな技術や特殊効果を駆使して、ピノッキオの物語の原点を忠実に再現できたのではないかと思っています。私は映画を作るときはいつも、観客だけでなく自分自身をも驚かせてくれる世界観を構築したいと思っているんです。
『ほんとうのピノッキオ』copyright 2019 ©ARCHIMEDE SRL - LE PACTE SAS
Q:ピノッキオやキャラクターたちは、まるで手で触れられそうな独特の風合いがとても印象的でした。
ガローネ:今回はなるべくCGを使わず、出来る限り特殊メイクでキャラクターを作り上げました。役者がメイクをして演じるわけですから、よりダイレクトにその役に入っていくことが可能になるんです。そのため本作の特殊メイクは、アカデミー賞を二度も受賞しているマーク・クーリエさんにお願いしました。彼は本作でもアカデミー賞にノミネートされるほど、素晴らしくハイレベルな特殊メイクを施してくれました。