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『モスル~あるSWAT部隊の戦い~』マシュー・マイケル・カーナハン監督 事実に基づき再現された“現代の戦場”【Director’s Interview Vol.163】

『モスル~あるSWAT部隊の戦い~』マシュー・マイケル・カーナハン監督 事実に基づき再現された“現代の戦場”【Director’s Interview Vol.163】

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「戦場」を撮るということ



Q:まるでモスルの街に放り込まれたかのような102分でした。臨場感にあふれるアプローチを使ってこの物語を表現した理由を教えてください。


カーナハン:私が一番意識したのは、事実に基づいた物語をどこまで忠実に再現出来るかということ。それで今言われたような「臨場感あふれる」アプローチを採用したんです。今回は素晴らしいスタッフとロケーションに恵まれたおかげで、それを叶えることが出来ました。特にロケーションには助けられましたね。モロッコは驚くほど撮影に対して理解があって、普通だったらありえないようなセットを作らせてくれました。戦場を再現するために、実際の建造物を破壊することさえ許してもらえたんです。これはさすがに驚きましたね。


Q:その場で起こっていることをそのまま切り取っているかのような映像でしたが、現場での演出はどのようにされたのでしょうか?


カーナハン:撮影に関しては、やはり撮影監督のマウロ・フィオーレの存在が大きかったです。彼は私の最初の脚本『キングダム/見えざる敵』の撮影監督でもあり、私の兄のジョーともたくさん仕事をしています。身近で彼の仕事ぶりを見ていて、とても才能に溢れている人だと思っていたので、今回は彼に撮影をお願いしました。



『モスル~あるSWAT部隊の戦い~』Ⓒ2020 Picnic Global LLC. All Rights Reserved.


マウロと一緒に詰めていったのは、この映画の世界観をどう表現するのかということ。アメリカの裏側にある、日常風景とは全く違う「戦場」をどう撮っていくのか? それをどこまでリアルに表現できるのか? その辺について二人で議論を重ねました。撮影現場でも、ステディカムやGoProなど色んな技術を駆使して検証を重ねましたが、そこでは気づいたのは“やり過ぎない”ということでした。凝った撮影をして演出が過剰になってしまうと、本来自分たちが描きたかった暴力性などが伝わりづらくなってしまうんです。


例えば、ステディカムで撮った銃撃戦を、手持ちに変えて再撮影してみたり、やり過ぎたと感じた場合には、ちゃんと冷静になって立ち戻ることもありました。現場ではマウロのアイデアも聞きつつ、冷静に演出できたと思います。


Q:ハリウッドではアクション(銃撃)シーンを撮る時は、画コンテなどを用意すると思いますが、今回の撮影ではどのようにされたのでしょうか?


カーナハン:画コンテは用意していました。ただそれはあくまでも叩き台として、スタッフとの共通認識で使っていた程度です。現場でロケハンをしていく度に、画コンテとは全く違う更に良い条件の環境に巡り合うことができました。画コンテは重要だと思いますが、実際の現場で自分の足で歩いて自分の目で見たことが、今回の撮影ではとても役に立ったと思います。スタッフ・役者・ミリタリーアドバイザーたちと、1日18時間以上歩いてロケハンした賜物ですね。




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